2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00618
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
茂木 俊伸 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (20392540)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | とりたて / 取り立て / 副助詞 / 係助詞 / 複合辞 / 複合助詞 / 副詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,現代日本語文法研究の重要トピックである「とりたて」の研究を深化させることを目的としたものである。特に,従来の研究の中心であった助詞あるいは副詞(狭義「とりたて」表現)から分析対象を拡大し,これまで「とりたて」の“周辺”や“外側”に位置付けられてきた,しかし「とりたて」を担うと分析しうる表現(広義「とりたて」表現)の開拓・検討を行い,体系的な分析を行うことを目指している。 本研究のコンセプトを具現化することに注力した昨年度(2019年度)の成果に基づいて,本年度(2020年度)は,本研究プロジェクトの(4年間中の)3年目として,従来は分析対象とされてこなかった周辺的な「とりたて」表現の収集と分析(探索的研究)に着手した。特に,最終年度の体系化の前提となる基礎データを作成するために,接尾辞類と狭義「とりたて」表現との関係を整理した。さらに,「限定」表現としての分析可能性を持つ多様な表現を収集し,整理を行った。 研究成果の公表に関しては,前年度に口頭発表(招待発表)を行った事例研究について,論文化した。また,本研究で継続して行っている概念整理の成果に関して,研究会で研究者対象の小講義と意見交換を行うことができた。 さらに,関連する文献収集を継続し,ウェブ版「「とりたて」関連研究文献目録」の更新を行った(追加計37件,リンク等修正42件)。この目録は,本研究の基礎データとしてだけでなく,当該研究分野の活性化にも資することを狙ったものであり,今回は2021年3月までの文献情報を含めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により研究時間の確保が困難となり,特に年度前半に予定していた周辺的構文の探索的研究が予定通り実施できなかった。後半には周辺的表現の分析を進めることができたため,ある程度のリカバーをすることができた。以上のことから,総合的な進捗状況としては「やや遅れている」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
コーパスを用いた事例研究の時間が予定通りの形で確保できない状況が続いており,それらをとりまとめる最終年度にも影響が出ることが予測される。体系化の範囲の再検討・重点領域の絞り込みも含め,着実に成果を残すことができるよう体制の立て直しを図る。 また,新型コロナウイルス感染症の影響により旅費の執行が困難となっていること,また文献複写に時間を要する傾向にあることから,予算の執行については計画的かつ柔軟に対応していく予定である。
|
Causes of Carryover |
昨年度と同様,新型コロナウイルス感染症の影響により「旅費」の執行ができなかったこと,また「その他」の複写費に未使用額が出たことから,これらの費目については残額が生じている。その一部は物品費による資料の購入に切り替えて使用しており,次年度も同様の措置を行う予定である。
|
Research Products
(3 results)