2018 Fiscal Year Research-status Report
話し言葉における使用実態調査に基づく日本語の否定表現の使用傾向の研究
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18K00630
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
野田 春美 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (60237849)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 否定 / 話し言葉 / 否定的な語彙 / 否定的な表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,日本語の話し言葉において,どのようなことが,どのような文脈で否定を使って表現される傾向があるのかを明らかにすることである。主な資料としては,話し言葉のコーパスを用いる。研究の特色は,基本的な否定だけでなく,「かもしれない」のようにモダリティ形式として固定化しているものも対象とし,否定形ではないが「違う」のように否定的な意味をもつ語,「まさか。」のように省略されている部分が否定的であると解釈できる副詞等も注意を払いながら,観察・分析を進めることである。また,他の言語と比べながら日本語の否定表現の使用の傾向を明らかにすることにより,日本語教育への応用も視野に入れている。資料としては,日本語の漫画・小説の会話文のフランス語訳,同じくフランス語原文の日本語訳を用いる, 本研究を着実に進め,成果を得るためには,調査項目の検討や,調査方法の詳細の決定が極めて重要となる。そこで,まず,否定に関する先行研究,及びモダリティやとりたて表現等,否定と深く関わる文法カテゴリーにおける最新の研究の把握に努め,話し言葉における調査として,どういった項目をどのように調査することが最適であるかを検討した,また,フランス語との対照も行うため,日本語の話し言葉コーパスにおける調査を行う際にも,対照研究を視野に入れておく必要がある。そういった点にも配慮して調査項目や調査方法の検討を重ねたことで,今度の研究を着実に進めていくための基盤を作ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は,否定表現及び,関連する表現の研究を進め,コーパス調査を行うための,調査項目の検討を行った。 また,コーパス調査の具体的な進め方について検討するため,旅費を使用して,国立国語研究所主催のNINJALシンポジウム 「データに基づく日本語研究」に参加した,「コーパスとモダリティ」をテーマとするワークショップにおいては,手法等の面で貴重な情報を得た。また,「多角的な視点から見た日本語のモダリティ」 のワークショップ等において,モダリティと否定の関係,とりたて表現と否定との関係を再認識することができ,コーパス調査の方法に反映させることを決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に検討した調査項目に基づき,まずは,日本語の話し言葉のコーパスにおける否定表現の使用傾向の調査を行う。最近,話し言葉のコーパスの整備が進んでおり,当初の計画以上に,充実した調査を行うことができる見込みである。調査結果の考察においては,関連する最新の研究にも目配りしながら,進めていく。 さらに,日本語とフランス語の話し言葉における否定表現使用の異同の調査にも着手する。具体的には日本語の漫画・小説の会話文のフランス語訳,同じくフランス語原文の日本語訳を用いて,話し言葉における否定表現の使用の調査を行う。
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Causes of Carryover |
平成30年度は,調査項目の検討に時間を要したため,コーパスを用いた本格的な調査を次年度以降に持ち越すこととなった。そのため,データ整理の謝金等についても,次年度以降に使用する。次年度には,コーパス調査や,紙媒体資料の調査を本格的に進めていくため,謝金,消耗品が必要となる。また,研究協力者とのミーティングのために,旅費も使用する予定である。
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