2020 Fiscal Year Research-status Report
植民地朝鮮における日本語教育~計量言語学的手法から見る学校教育と社会教育との連携
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18K00685
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
上田 崇仁 南山大学, 人文学部, 教授 (90326421)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 植民地朝鮮 / 国語教育 / テキストマイニング / KH Coder |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウィルスの影響もあり、新たなデータ入力作業は実施できなかったが、入力済みのデータを基に、3つの論文を公開することができた。 まず、対象とした教科書については、基本的に日本が韓国を併合する前に使用していた『日語読本』を取り上げ、巻一から巻八までのデータを利用した。このデータを基に、各巻の特徴をテキストマイニングの手法で明らかにした。明らかにする過程には3段階あり、最初の段階では教科書に採用された語彙の多寡を全体的に確認するという作業を行った。その過程で、今回は、品詞を名詞に絞ったうえで、どのような語彙の頻度が高いのかを明らかにした。一方で、語彙そのものの使用頻度は、単に数をカウントするだけのもので、それがどのように使用されているかが明らかではない。例えば同じ「軍隊」という言葉があったとしても、「軍隊が必要だ」という論調と「軍隊を廃止するべきだ」という論調とでは、教科書の教えようとした内容が同一であるとは言えない。テキストマイニングの手法で、それがどのような語彙と共に使用されているのかを明らかにする必要がある。そこで、第二の段階では、それらの関わりを調べていくという事で、共起制限や語彙ネットワークについて調べることとした。この段階では、採用された語彙の数について、どの程度の頻度からデータとして処理するかというところに、まだ、私自身の熟練度が足りず不本意な結果となった。そこで、今年度は、コーディングルールの設定についての検討を行った。これが第三段階である。コーディングルールの設定は、結果として、まだ決着はついていないがほかの時期の分家期とも合わせ非常に重要であるという認識に至った。この3つの段階についてそれぞれ論文を公開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教科書等調査対象資料の収集は計画通りだが、新型コロナウィルスの影響もあり、データ化のアルバイト雇用やその方たちに依頼する作業が一年滞っている。データ化が終われば問題なく研究が進められることから、新年度は急ぎたい。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、資料のデータ化作業をアルバイトを雇用して円滑に進めたい。 これについては、報告書作成時点で応募を始めているところである。募集に応じた人を対象とした入力説明会の準備も終わっており、遅滞なく進められると考えている。 また、マイクロフィルムリーダーを購入し、マイクロフィルムとして所持している資料については、図書館等で限られた時間に調査を行うのではなく、研究室内に置いて日常的に読み取ることとし、作業効率を大幅に上げることを考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で、アルバイトを雇用して進めるデータ化が一切進捗しなかったこと、学会発表の機会を逸したこと、調査や意見交換の出張を一切行わなかったために、経費の支出がほとんどなかった。これらのの経費は、繰り越したうえで、日常的に研究室で資料が読めるように、マイクロフィルムリーダーを購入する計画である。新型コロナウィルスの影響で調査出張ができない場合でも、マイクロフィルムを活用することにより、進捗状況への影響を最小限にとどめることができると判断した。
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Research Products
(3 results)