2018 Fiscal Year Research-status Report
教育的ダイナモとしての「利他」精神の言語哲学的考察とその還元:大学英語教育を例に
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18K00804
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山中 司 立命館大学, 生命科学部, 教授 (30524467)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 利他 / 教育 / 言語哲学 / コミュニケーション / 心理 / 国際教育 / 留学 / 感謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究者は「利他の哲学」と「教育」との接点に注目し、教育における利他の応用可能性について、これまでは主として理論的な見地から研究を行い、国際ジャーナル等で発表してきた。ただし依然として教育の分野に利他の哲学が十分に浸透しているとは言えず、様々な構造的・政治的要因もそれを阻害している。そこで2018 年度研究では、具体的な教育メソッドとして「利他」を入れ込んだ短期留学の方法論を確立し、パッケージとして「使えるもの」であることを示すことで、プラグマティックな意味から利他の哲学を普及させる方向性に改める。 本研究は、本学国際部主幹の超短期全学留学プログラム「グローバル・フィールド・プロジェクト」をケースとし、山岸典子研究グループの心理学的手法を取り入れることで、短期の留学における種々の効果を検証する。この効果の中には、いわゆる利他精神(今回の検証では「感謝/gratitude」)も含まれる。 実践における取り組みをデータ化し、山岸研究グループに解析をしていただいたところ、本短期留学プログラムにおける種々の効果が見つかった。この中には新規性のある発見も含まれるように想定される。 短期留学における「感謝」の効果については、必ずしも当初想定したような結果は得られなかったが、留学が及ぼす感謝の効果については一定程度確認することができた。 本取組の最終的な目標点は、超短期の海外研修が様々な点でメリットや効用があり、また利他の視点からも意義があることを実証することで、新しいタイプの企業研修モデルがパッケージとして提示できることである。 今後の課題としては、2018年度に得られた検証結果をまとめ、国際教育系の国際的なジャーナルに投稿する。また2019年度においても同様の実践が行えるため、2018年度の実践を改良したデータ収集に取り組むことを目標にする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度中に国際的なジャーナルに論文を投稿することができなかったが、2019年度初頭にはそれが可能となる見込みである。これは当初の予定と大きく違えるものではない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究そのものの遂行やデータの解析もさることながら、論文にして国際的に発信することに力点を置く。2018年度に行った研究パラダイムを改善・修正することで2019年度は社会科学的なデータ収集を行うため、計画的に論文化の道筋をつけ、さらにもう1本の論文に仕立てあげることを目標としたい。
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