2020 Fiscal Year Research-status Report
Studies in English for Hospitality and Tourism on Kumano Kodo Pilgrimage Routes
Project/Area Number |
18K00806
|
Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
岩田 聖子 追手門学院大学, 基盤教育機構, 大学常勤講師 (80771394)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 千春 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (90411389)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 観光地の国際ネットワーク化 / ニーズ分析 / アプリ開発 / 観光英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
宿泊施設で提供される食事および災害時の英語対応におけるアプリ開発(熊野モデル)、および学会発表、上梓に向けて原稿の執筆を行った。 1.ニーズ分析に基づいたアプリ開発 海外からの宿泊客が少なかった熊野古道エリアの歴史的観光地に、訪日外国人がやってき始めた頃は、現地の観光従事者にとって英語対応は克服すべき課題であったが、だんだんと英語接遇に慣れ、多くの外国人を受け入れてきた。しかし前年度及び一昨年度のアンケートのニーズ分析より、以下の点で課題があり、英語対応の急務が出てきた。外国人宿泊客の満足度アンケートの結果では、①「食事の好み、アレルギー、飲み物に関する英語対応」の満足度の低さが、観光従事者のアンケート結果からは、近年増加傾向の②「イスラム圏からの観光客への英語対応」および③「緊急時の英語対応」に対する不安が出てきた。そこで2020年度はこの内容に特化した英語アプリの開発に向けて、地元で提供する食材やアルコール類、緊急時の避難対策の現状を宿泊従事者に聞き取り調査(半構造型インタビュー)を行い、それを基にアンケートを作成し熊野古道のルート沿い(本宮地区、中辺路地区)の宿泊所に配布、調査を実施した。 2.研究成果の公表 日本国際観光学会(JAFIT)での研究発表および学術書(学芸出版社)の執筆を担当し出版した。国際ネットワーク化にむけた田辺市の取り組みの中で訪日外国人増加につながった「共通巡礼」の観光プロモーションとその課題について特筆した。スペインの「カミーノ・デ・サンティアゴ」と「熊野古道」のどちらも巡礼経験がある人々の自由記述をもとに、文化や巡礼道の違い、日本の修験道の良さを理解してもらうため、熊野古道を訪れる外国人観光客を教育するという新たな観点で、ホストとゲストの関係を再構築する必要が分かった。また、「外国人宿泊客の満足度アンケート」の分析結果については田辺市へ報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際比較を行う予定のスペインでの調査が、新型ウィルスの蔓延により、実施に至らなかった。国内でも、訪日外国人が激減したことにより熊野古道を訪れる訪日外国人の満足度アンケート調査の継続、および本宮町の女将の方々の外国人宿泊者に対するビデオ録画撮影などの参与観察が極めて困難な状況であり、研究地へ訪れる回数も制限された。そのため、外国人満足度アンケートの、スペインの「カミーノ・デ・サンティアゴ」と「熊野古道」のどちらも巡礼経験がある人々の自由記述をもとに、文化や巡礼道の違いの研究を行った。また、以前のアンケート調査で明らかになった観光従事者用の英語対応アプリ開発用調査に着手した。さらに、2021年3月に出版された『地域創造の国際戦略』(学芸出版社)では、熊野古道を有する田辺市の国際ネットワーク化に向けた取り組みの執筆を担当し、日本国際観光学会でも発表を行った。当初の予期していなかった状況での研究活動で、新たに上梓に向けた原稿の執筆などを含め、多少遅れてはいるものの研究を遂行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.スペインでの調査の実施、スペイン、カミーノサンティアゴに点在するアルベルゲ(簡易宿泊所)およびバル(休憩所)にて、熊野で実施したアンケートのスペイン語版及び英語版のアンケートの実施。同時に巡礼者に対して満足度調査の準備を行う。2.本宮温泉郷の女将の方々の外国人宿泊者に対する英語接遇の場面のビデオ録画撮影などの参与観察、インタビュー調査を行う。3.同様の観光資源を持つ他の地域においてもアンケート調査を行う。4.高齢化が進む旧本宮町(現田辺市)の宿泊業者を念頭に置いた、高齢者の英語習得について理論研究を引き続き行う。5.観光従事者へ対する「外国人宿泊客への接客に関するアンケート」及び「訪日外国人満足度アンケート調査(熊野版)」を基に、観光従事者への英語教育も兼ねた英語アプリ(熊野モデル)のコンテンツ作成を行う。 6.研究成果を学会で発表し、論文執筆を行っていく。 ※ただし、1,2に関しては新型ウイルスの今後によるところが大きい。
|
Causes of Carryover |
世界的に蔓延している新型ウィルスの影響を受け、国内外での調査が困難となり、国内外の学会発表もオンラインとなったため、予定使用額との間に差が生じた。次年度は、移動を伴う調査では状況によるところが大きいが、スペイン調査、国内調査、アプリ開発などに多角的に使用する予定である。
|