2022 Fiscal Year Research-status Report
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18K00808
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山田 一美 関西学院大学, 工学部, 教授 (90435305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木津 弥佳 (田中) ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (00759037)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スペイン語母語話者 / 日本語学習者 / 項削除 / 空項 / 再帰代名詞 / 相互代名詞 / φ素性一致 / pro |
Outline of Annual Research Achievements |
【データ収集】グラナダ大学のDr. Nobuo Ignacio Lopez-Sakoの協力を得て、オンラインで予備実験を実施し、スペイン語母語話者のL2日本語学習者7名からデータを収集した。実験アイテムや実施方法に特段に問題がなかったため、本実験として引き続きデータを収集中である。 【国際学会発表】J-SLA2022の発表では、スペイン語母語話者のL2日本語学習者(S-JFLs)を対象とした、空項の解釈についての予備実験結果について、特に項削除の観点からのL1の影響の可能性に着目して発表した。日本語で項削除が許されるのは解釈不可能なφ素性がないからであり(Saito, 2007)、一方スペイン語ではφ素性があることからS-JFLsは項削除を習得するために当該のL1素性を忘れなければならない。Yamada and Miyamoto (2017)では、S-JFLsが日本人統制群と同様に、空項が緩やかな同一性解釈を持つことを許したことが報告されている。本研究では空項の先行詞に「自分のDP」と「お互いのDP」の両方を含めて実験を実施した。後者はYamada and Miyamoto (2017)では検証されていない。結果は、緩やかな同一性解釈において2つの先行詞の場合で興味深い差異が観察された。この差異はYamada and Kizu(2022)でも観察されており、この結果をふまえ、S-JFLsがL1素性を未だに保持している可能性を主張した。 【論文執筆】J-SLA2022の発表内容がLanguage and Culture 26に掲載された。 【国際学会発表への応募】英語母話者の日本語学習者およびスペイン語母語話者の日本語学習者の空項の解釈についてのデータを比較検証した内容で、国際学会発表に応募している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りスペイン語母語話者を対象とした実験を実施でき、引き続き、スペインで実験を実施できている。またスペイン語母語話者のデータと、すでに収集した英語の母語話者のデータとを比較した内容で国際学会発表に応募済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、スペイン語母語話者の日本語学習者データを収集する。最終的には20名以上のデータの収集を予定している。
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Causes of Carryover |
海外ではなく日本で開催の国際学会で発表したため、交通費や宿泊費などの使用額が抑えられたことにより次年度使用額が生じた。次年度秋より、本研究代表者はイギリスへ学院留学の予定であり、データ収集や学会参加等で日本へ出張することが何度か必要となるため、その際の交通費や宿泊費として使用することを計画している。
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