2018 Fiscal Year Research-status Report
英語が苦手な学生が英語を書く力と発信する自信を高めるためのプログラムの効果検証
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18K00814
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Research Institution | Jissen Women's Junior College |
Principal Investigator |
三田 薫 実践女子大学短期大学部, 英語コミュニケーション学科, 教授 (30310337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 佳枝 実践女子大学短期大学部, 英語コミュニケーション学科, 講師 (40803028)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 第二言語作文 / 英語が苦手な学生 / 訂正フィードバック / オンラインアプリ / 国際教育ネットワークアイアーン / 機械作文評価ソフトウェア / テキストマイニング法 / 特徴語抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、英語の苦手な学生が自ら考え、英文を組み立て、海外に発信するというアプローチで、「英文発信力向上プログラム」の開発と効果検証を通じ、「英文発信力」(=「英語を書く力」と「発信する自信」)を向上させる要因を明らかにすることを目的としている。 「書く」英語を用いて有効なコミュニケーションの取れる人材の育成を目指した「英文発信力向上プログラム」として、次の内容を実施している。(ア)日本語によるブレインストーミング、構成、下書き(発信する内容を日本語で徹底的に考えさせ、論理展開させる)、(イ)英語的な構造の日本語(作成した日本文について、視点や文構造の違いを意識させ、「英語的な構造の日本語」に直させる)、(ウ)使える単語を活用(「単語を知らないから書けない」という思い込みを捨てさせる。またオンラインアプリ活用による単語修得を指導する。)、(エ)3種類の文法チェック(英文の「正確さ」向上のため、①オンラインアプリ(すぐにエラー部分の指摘が表示される文法チェック)②ネイティブ教員のチェック(直接教員から指導が受けられる文法チェック)③外部業者の修正(投稿前の最終文法チェック)を行った上で、海外の学生交流サイトに英文を投稿する。 本研究の「学術的独自性」は、英語が苦手な学生向けに開発された「英文発信力向上プログラム」の効果検証を行うことである。このように「書く」英語に関する複数の課題克服法を統合したプログラムについて分析・検証した例は、他にない。本研究の「英文発信力向上プログラム」の効果検証の結果、英文発信力を高める要因が明らかになり、英語が苦手な日本人学生全体の「書く」英語底上げの具体的なプログラムが確立されることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的は英文発信力向上要因を明らかにするということである。研究方法としては、「英文発信力向上プログラム」を実施し、プログラムの事前事後にライティングテストを行い、総語数について、事前・事後比較を行った。また英文発信力向上の効果要因特定のため、選択式および自由記述式のアンケートを実施し、収集データの量的・質的分析を行った。質的分析にはテキストマイニング法を用い、この結果を、習熟度別に分析した。ライティングテストの総語数が顕著に伸びた学生には効果要因についてアンケートを分析した結果、5つの授業内活動(日本人授業、ネイティブ授業、文法チェックアプリ、英文添削サービス、海外学校交流サイトiEARN への投稿)が相互補完的にライティングのfluency を高めた可能性があることが分かった。 ライティングテストは、「解説文」(My favorite places)と「描写文」(My hometown)の2種類のトピックについて、それぞれ10分間のテストを事前・事後に実施した。結果は、「解説文」で語数を顕著に上げている学生である10名全員が習熟度別の上位クラスに所属するのに対し、「描写文」については、12名中の半数を中位・下位クラスが占めていた。 「海外学校交流サイトiEARN への投稿」については、上位クラスの学生は、自分たちの英文が海外の人に読まれることを意識して注意深く書こうとするコメント、また日本文化発信の機会を意識したコメントが多かった。それに対し、中・下位クラスの学生からは、iEARN プロジェクトの活動Holiday Card Exchange のカード作りを楽しむコメントが多くみられた。グループでのカード作りのような一見英語力向上に関係ない活動が、特に習熟度の低い学生の学習意欲を高めて英文ライティングのfluency を向上させている可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究推進計画の目的は、1年目の量的・質的分析で特定された効果要因を検証することである。研究手法としては、①プログラムを実施・修正する。②プログラム実施前後のライティングテストについて、総語数を調べ、前年度の結果と比較する。③初年度に特定された英文発信力向上要因を含めた質問紙調査を実施し、得られた量的データを統計分析する予定である。 調査対象の科目は、従来半期科目であったが、平成31年度より通年科目となり、200名を超える短期大学全1年生が前期と後期それぞれ週2コマずつ受講する科目となった。そのため、前期はリーディングと単語力強化のインプット重視の授業展開を行いながら、海外学校交流サイトにアクセスして英文を読みコメントを出す活動を行い、後期には平成30年度同様に3段階の修正フィードバックのライティング指導を行い、海外学校交流サイトにエッセイを投稿するというアウトプット重視の授業を行う。 H31年度より、英語力を測る外部試験が全1年生対象に事前事後で実施され、特に上位クラスでは4技能試験が導入された。この試験のライティングのスコアもデータとして活用し、fluencyだけではなく、accuracyの分析も行う予定である。 海外で英文発信力の高い国の学校については、海外学校交流サイトへの投稿数の多い台湾の中学校の視察を検討中である。
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Causes of Carryover |
初年度は、当初海外学校交流サイトの運営組織を視察し、英文発信数の多い国や学校について調査する予定であったが、運営組織に行かずとも視察候補校をリストアップすることができた。平成31年度は、視察に向けて、海外学校交流サイトへの投稿数の多い台湾の中学校訪問の具体的検討を始めている。
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