2020 Fiscal Year Research-status Report
Analyzing intervention effects in Japanese EFL learners' acquisition of raising and relative clause constructions: An interface approach
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18K00834
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
吉村 紀子 静岡県立大学, その他部局等, 客員教授 (90129891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 敦之 静岡県立大学, その他部局等, 准教授 (80626565)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 第二言語習得 / 介在効果 / 受動態 / 関係節 / 例外的格付与構文 / 照応関係 / 主語繰り上げ構文 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画では、日本人英語学習者が目的語関係節 (Object Relative Clause)を理解する上で関係節の主語による介在効果の影響を受けるかどうかを形態-統語のインターフェイスから調査する予定であった。しかしながら、新型コロナ感染拡大のため、春学期と秋学期の授業がほとんどオンデマンド形式オンライン授業になったので、クラスでの対面調査あるいは一対一のインタビュー調査を前提に企画した実験は延期せざるを得なかった。 一方、2020年3月13日~14日にハワイ大学ヒロ校で学会発表した論文ECM Passives in L2 English「英語の例外的格付与構文の受動態に生じる介在効果」を修正・加筆して学会誌に発表した。考察の結果は、日本人英語学習者は英語のECM受動態が不定詞節の主語を主節の主語にA-移動させる構文であることを理解できないことを示唆するものであった。また、2019年度の第二言語習得学会の秋の研修会で招待講演で発表した内容をさらに精査した上で、論文Japanese EFL Learners' Null Subjects in the Control and Seem Raising Constructionsにまとめて学会誌に発表した。考察では、日本人英語学習者がA-移動を理解することはむずかしいことが再確認された。 また、2020年度に開催予定であったが、2021年春に延期された2つの国際会議 (第二言語習得学会(J-SLA)設立20周年記念学会(2021年3月)・Generative Approaches to Language Acquisition North America 9 (GALANA 9)(2021年5月))がZoomで開催されたので、採択された要旨に基づきオンラインで論文を発表し参加者から質問やコメントを得た。論文執筆に役立てたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、日本人英語学習者の英語構文の習得に関するもので、研究目的の遂行のためには実験調査で資料・データを収集・分析することが重要で不可欠である。実証的なエビデンスなしでは研究を進めることができない。2020年度は、新型コロナ感染拡大に伴った対面授業停止の措置によってオンライン授業となったため、当初予定していた調査を実践できなかった。2021年夏以降に調査が実施できるように準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究は、新型コロナ感染状況が夏以降には落ち着くことを期待して、次の2つの調査に焦点を置いて研究を推進する予定である。 まず、2020年度に実施できなかった目的語関係節における介在効果の影響について、日本人英語学習者を対象としてライティングの実験を実施し産出データを収集・分析する。課題は、2019年度の実験で得たリスニングとリーディングの結果-つまり日本人英語学習者の目的語関係節の理解では主語の介在より先行詞 (relative head)の「有生」対「無生」の対比がより重要な要因となること-が産出スキルのライティングにおいても同様にみられるのかである。この興味深い課題についてさらに考察を深めて行きたい。 続いて、英語の代名詞は文中において「数」(number)のみならず、「性」(gender)によって選択されなければならない。2018年度の実験で英語代名詞のgenderに関する統語あるいは意味の素性の区別が日本人英語学習者にとって主語繰り上げ構文の理解の手助けになるかどうかを調査したところ、「手助けにならない」とする結果を得た。しかしながら、この分析結果を国際学会で発表したところ、日本人英語学習者が一般的な不定詞節に現れる代名詞の先行詞について認識できるかどうかを追加検証する方が望ましいという助言があった。この提案を踏まえて、日本人英語学習者による不定詞節における代名詞理解、特にジェンダーによる所有格(his, her)・目的格(him, her)の適切な選択ができるかどうかについてフォローアップ調査を実施したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大のため、予定していた実験調査・文献調査が実施できず、また国内外の学会発表がオンラインで実施され、出張できなかった。
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