2018 Fiscal Year Research-status Report
Foreign language education for cross-cultural understanding and communication by the exchange of videos
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18K00888
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
坂本 旬 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (60287836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 ひとみ 東洋学園大学, 東洋学園大学グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (10205776)
寺崎 里水 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (70432028)
長岡 智寿子 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (20738273)
村上 郷子 法政大学, その他部局等, 講師 (80383131)
菅原 真悟 法政大学, その他部局等, 講師 (00745052)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小学校英語教育 / 内容言語統合型学習 / メディア・リテラシー教育 / 異文化間交流 / 映像教育 / メディア情報リテラシー / ESD / ユネスコスクール |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度に実施したのは以下の4点。(1)イギリスの著名なメディア・リテラシー研究者デイビッド・バッキンガム氏を招いたシンポジウムおよび同氏による福島県内の四倉小学校、広野中学校の実践見学、(2)中国大連市立第16中等学校と伊奈学園総合高校とのビデオレター交流の実施、(3)須賀川市立白方小学校とネパールのチャンディカデビ小学校、ガネッシュバラティ小中学校とのビデオレター交流実践の実施、(4)いわき市立四倉小学校とインドネシアのネゲリ第31小学校とのビデオレター交流実践の実施である。 (1)についてはソーシャル・メディア時代の最新のメディア・リテラシー教育理論を共有するとともに、いわき市立四倉小学校と広野町立広野中学校での映像教育実践の意義を確認することができた。(2)から(4)については、法政大学情報メディア教育研究センターの協力を得て、映像交流に動画共有サイトOATubeを用いることができた。動画共有サイトの導入はこれまで1対1だった交流から多国間多学校間の交流を可能にした。今年は、動画共有サイトを用いて白方小学校と四倉小学校間の交流が行われた。 また、とりわけ(3)については、小学校英語にCLIL(内容言語統合型学習)を取り入れた授業実践を行い、英語を用いたビデオレター制作および手描きカードの交換を行った。ネパールでは二つの学校を訪問し、福島とネパール双方でCLILの評価基準を用いた実践評価のためのアンケート調査を行い分析を行った。さらにビデオレター交流の基本原理と授業方法を論文としてまとめた。今後、新学習指導要領の実施とともに、ビデオレター交流による小学校英語教育およびESDの需要はますます高まると考えられる。今年度の研究成果はその第一歩となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の目標は、CLIL(内容言語統合型学習)とMIL(メディア情報リテラシー)+ESDという二つの領域の理論を統合し、すべてのプロジェクトの評価基準となるルーブリックを開発すること、およびビデオレター発信学校におけるアクション・リサーチの実施であった。今回、最初の試みとして、白方小学校およびネパールのガネッシュバラティ小中学校で、CLIL理論による評価基準を用いたアンケート調査を実施した。現在、調査結果を分析中であり、その結果に基づいて翌年度にはルーブリックを開発する予定である。 一方でMIL+ESDについては、近年急速に展開しつつあるデジタル・シティズンシップを含むソーシャル・メディア時代のMILを整理し、デジタル・テクノロジーが広範囲に普及するとともに、デジタル・デバイドがますます大きくなる世界状況に対応したデジタル時代にふさわしいESD理論の構築をめざす。とりわけ、2018年度はデジタル・シティズンシップの重要性について整理を行った。次年度以降は、さらに小学校からのICT活用に対応したESDのあり方を検討する。 また、初年時におけるネパールでの実践では、ネパール固有の問題があることが明らかとなった。例えば、ネパールの学校では音楽や美術教育、さらにICT機器を用いるためのインフラが不十分なため、単にビデオレターの交流実践を行うだけではなく、こうした現状に対応した教育支援が必要である。2018年度は白方小学校から楽器の贈与を行い、実験的に音楽を用いたビデオレター制作を試みた。今年度以降は、こうした現地の実情に合わせた実践が必要不可欠である。 さらに、2018年度は動画共有サーバーを導入することができた。その結果、一対一ではなく、マルチラテラルな交流が可能となった。今後、その利点を生かし、より多くの学校参加をめざす。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の成果をもとに、今年度は第一にCLILの評価基準をもとにしたルーブリックの開発を重点的に行う。初年時は、地域調査担当の寺崎がCLILの評価基準をもとにしたアンケート調査を実施しており、今年度も寺崎が引き続き、地域調査からCLILの評価基準をもとにしたアンケート調査分析担当へ変更とする。また、ルーブリック研究担当の村上は寺崎と協力して、CLILとMIL+ESDを統合したルーブリックの開発を行い、今年度中にその成果を論文にまとめる。 また、坂本ひとみと坂本旬はアクション・リサーチの手法を用いて、白方小学校の教員と協力しながら、初年時の白方小学校での実践の問題点を整理し、その改善策を踏まえた実践計画を立案し、実行する。その途中経過は日本ESD学会で報告を行う。 ネパールでの実践については、坂本旬がビデオレター交流、長岡が現地の地域調査、寺崎がアンケート調査を担当し、3月にネパールを訪問して各学校に応じた実践を行う。2018年度の実践により、芸術教育の必要性が認められたため、絵画や音楽を統合したビデオレター交流を実施する。そのため、今年度より、音楽教育の専門家を研究協力者とする。 他方で、ICTの活用方法の研究を担当する菅原が就職のため、本研究への参加が困難となった。そのため、ICT活用方法の研究については坂本旬が引き継ぎ、法政大学情報メディア教育研究センターの協力を得ることとする。
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Causes of Carryover |
当初計画になかった国際シンポジウムを開催したため、その開催費用を支出する必要があった。一方、動画共有サイトを大学所属の施設に委ねたため、それにかかる次年度以降の経費を削減することで相殺した。また、長岡はネパールへの調査に参加するため、その経費が必要である。
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