2021 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ語学習者の発話の非流暢性を発話の協働構築の観点から再検討する
Project/Area Number |
18K00889
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
星井 牧子 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90339656)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 外国語教育 / ドイツ語教育 / 第二言語習得 / 学習者言語 / インタラクション / コミュニケーションストラテジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、言いなおしや言いよどみなどの非流暢性を示すとされる言語現象を、学習者の発話プロセスにおける機能と他者とのやりとりにおける機能の両面から考察し、発話の協働構築の観点から捉え直すことを目指している。令和3年度は、インタビューにおける語りのデータを用いて、学習者の発話にみられるポーズやフィラー、繰り返し、自己訂正などの非流暢性を示す現象の分析を行い、インタラクションにおける学習者の発話にみられる非流暢性の機能と併せて考察をすすめた。また多人数間のインタラクションデータの文字化作業をすすめ、分析データの基盤を拡張した。平行して、流暢性・非流暢性を示す言語現象に関する先行研究の調査をすすめた。 インタビューにおける学習者の語りの分析では、非流暢性を示す現象のうち自己訂正は特に動詞に関連する箇所で出現することが明らかになった。調査対象の学習者は、特に動詞の語尾変化と完了形における助動詞の選択、および主文におけるXVS構文(主語以外を要素とする前域とそれにつづく定動詞第二位)に注意しながら発話していることがわかった。インタラクションデータの分析からは、非流暢性を示す現象が、学習者が発話の際に直面している問題を示唆し、それが他者とのやりとりにおける発話の協働構築と気づきによる学習につながることが観察された。 研究の途中成果の一部は、FaDaF 2021 (2021年6月、カッセル大学/フライブルク教育大学・ドイツ、オンライン開催)および 2020年度より1年延期になっていた IVG 2020(2021年7月、パレルモ大学・イタリア、オンライン開催)で報告した上で論文にまとめ、IVG記録論集に投稿し、採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大とそれに伴う海外渡航制限で、海外(ドイツ、オーストリア)の共同研究者との研究打ち合わせおよび関連する分野の研究者との意見交換が大きく制約をうけた。また発表を予定していた国際学会のうち、国際ドイツ語教員会議(IDT)が2022年へ延期となった他、研究報告を行った学会もオンライン開催となり、対面開催と比べて報告に関する意見交換が限定的になるなどの影響を受け、前年度に引き続き進捗状況の遅れを取り戻すには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューデータを中心に分析と考察をすすめる。研究成果については、新型コロナの感染拡大を受け2020年度から開催が延期されている国際ドイツ語教員会議2022 (IDT2022)(2022年8月、ウィーン・オーストリア、対面・オンライン併用での開催)に参加し、研究発表を行う予定である(採択済み)。その上で、海外の研究者との研究交流を行い、研究成果を論文にまとめてジャーナルに投稿する。
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Causes of Carryover |
理由:成果発表のための学会参加と海外の共同研究者との打ち合わせを目的としてドイツ、ヨーロッパへの渡航を予定していたが、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、予定されていた学会がすべて延期またはオンライン開催となり、出張を中止したことで、予定していた旅費の支出がなくなり、令和3年度中の支出総額が減り、結果的に次年度使用額が生じた。
使用計画:海外の共同研究者との研究打ち合わせおよび研究成果の発表にかかる旅費/滞在費としての支出を予定している。
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