2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K00913
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
藤森 馨 国士舘大学, 文学部, 教授 (50291000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
夏目 琢史 国士舘大学, 文学部, 講師 (00747842)
小倉 慈司 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20581101)
岡野 友彦 皇學館大学, 文学部, 教授 (40278411)
岡田 荘司 國學院大學, 神道文化学部, 教授 (60146735)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 出雲国造家 / 中世文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
昭和31年村田正志氏が調査された出雲国造北島家の古文書は、429通を精選し、『出雲国造家文書』として昭和47年に刊行されている。その中で、306通の文書が重要文化財に指定され、同時に文化庁の斡旋により表装成巻された。当初、この表装された巻子本を再度調査し、当時の技術では解読しえなかった紙背文書などを明らかにしようとして、本研究を始めた。しかし、原則当主以外立ち入りを禁じられていた蔵を、現当主北島健孝氏と共に、調べてみたところが、未調査の箪笥があることが分かった。平成30年8月23日から3同月26日かけての調査で、新出の鎌倉時代から戦国時代にかけての文書150通が発見された。平成31年3月5日から7日の調査で、更に100通の写しを含む中世文書が発見されたのである。これは想定外の事態で、村田氏が『出雲国造家文書』跋文で429通がほぼその全容である、と記されていたからである。 この度発見された古文書は「六波羅下知状」などの鎌倉時代の文書から戦国時代に及ぶ。特に尼子氏の出雲支配や、その支配を継承した毛利氏関係のものが多い。出雲の中世史を一変させるのではないか、と推測されるものが多数である。尼子氏を通じての幕府関係のもの、毛利氏を通じての豊臣政権関係のものなど多岐にわたる。その特徴は、宗教関係文書というより、在地を統括する武家文書を彷彿させるものである。戦国時代後期には本願など大社造営関係の宗教者の動きを示す文書も散見するようになるが、決定的に少ない。聖教や祝詞など寺社文書を特徴づけるものは、皆無とは言えないが、今回の調査では、あまり目に触れなかった。老中奉書などでの祈祷依頼などは、むしろ近世文書に多く視られる。いずれにしても、新出の中世文書が想定外の分量で発見されたことは、今回の研究の大きな業績といえよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
出雲国造家の文書は村田正志氏により、昭和31年精緻な調査が行われている。国の重要文化財に306通が指定されているが、現当主北島健孝氏より、再度の調査を依頼されたのが、本研究の始まりである。マイクロフィルムで撮影したものを東京大学史料編纂所で村田氏以下が解読したため,誤読や判読不可能なところがあったものを、修正することを主な目的として平成30年8月23日から26日にかけて第一回目の調査を行った。そのさい未調査の箪笥があることが判明し、中を開いてみたところ、この時点で150通の鎌倉時代から戦国時代にかけての中世文書が発見されたのである。 平成31年3月5日から7日にかけて2回目の調査を行ったところ、更に100通の中世文書が発見された。現在研究分担者や協力者と、文書の解読を行っており、これらの史料の整理に努力しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究では、想定外の中世文書の発見があったため、研究方法を大幅に改めざるを得なくなった。当初の予定では、近世文書まで研究の対象にする予定であったが、中世文書が250通発見されたため、中世までを研究の対象とし、近世文書は別に扱わざるを得なくなった。
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Causes of Carryover |
文具の節約により残額が発生した。
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