2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00923
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高嶋 朋子 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任助教 (60600442)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 近代史 / 地方史 / 外地 / 同郷会 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究成果公開のためのシステム構築を行うために、公開データの作成を完了させるべく、前年度より進めていた雑誌『奄美大島』における対象記事の抽出、記事の読み込み、分析を中心に作業を進めてきた。当該誌の関連記事からは、少なくとも1920-30年代の台湾には既に北部、中部、南部にそれぞれ奄美諸島出身者による同郷者団体が存在していたことが確認できた。また、こうした広域での同郷者団体以外にも、各市や地区などの狭い範囲における同郷者団体の活動が見られる。名簿等によれば、いずれも総督府等の公務員と製糖会社社員がほとんどで、こうした社会的中位層以上の人びとによって組織されていた団体であったことが明白である。彼ら自身が植民地台湾において権力性を持った「日本人」社会の構成員でありつつも、その内部ではマイノリティーとされた「奄美人」であることをどのようにとらえたのか、その自己認識は同郷会への関与にどのような作用をもたらしたのかをとらえる試みとして、一部の構成員の履歴や執筆記事、原稿の有無などの確認に着手したが、新型コロナウイルス感染状況が悪化したことで、速やかに必要な参考資料を確認できない時期があり、進捗が遅れて成果をまとめることができなかった。 聞き取り調査については、今年度当初より、新型コロナウイルスによる感染が収まっていないことを理由として、計画の中心に据えていなかった。それをカバーする方策のひとつとして、過去に行った奄美大島出身の湾生(または幼少期に渡台した人)のライフヒストリーの聞き取り調査結果を洗い直して、本研究テーマに関係する証言がなかったかの確認に着手したが、これも成果をまとめるまでには至らなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「研究実績の概要」でも述べたように、新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮する必要等から、計画通りに研究を進められなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
作業中の資料確認や内容分析を完了させて同郷会関連の記事データを作成し、年度内にデータを公開できるよう進める。
|
Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウイルスの影響により、研究課題を計画通りに進めることができなかった。 次年度には作業中のデータ作成を完了させ、年度内に研究成果公開システム構築を行うために研究費を使用する。
|