2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the ancient demographic history of Japan using spatio-temporal information science
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18K00928
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
今津 勝紀 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20269971)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人口動態 / シミュレーション / 時空間情報科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020.9.27「日本古代において「生存」を問う―歴史生態学の模索―」(第23回歴史学入門講座・宮城歴史科学研究会大会、主催:宮城歴史科学研究会 於:ZOOMオンライン)、2020.12.20に第4回古代地域社会史研究会を開催し、地域史研究の意義について趣旨報告を行った。本年度は研究全体のまとめとして、人口変動シミュレーションの詳細についてまとめるとともに、古代の人口変動についてまとめた。日本古代の人口について、八世紀前半の律令国家の支配下の総人口四五〇万人が、どのような条件でどのように推移したのか、時間と空間についての計算機によるシミュレーション、時空間情報科学を利用することで検討した。慢性的飢饉状態にあった古代ではあったが、天然痘などの感染症を除いて、旱魃や霖雨による飢饉、それが誘発する疫病は作用する地域が限局された環境抵抗であった。平安前期の人口分布は、列島の中央部から西部にかけて人口密度、すなわち人口圧が高いが、奈良時代を通じてのこれまでの年率一%成長説は理論値であり、深刻な飢疫被害をうけた地域では人口が減少し、人口はモザイク状の分布を示した。奈良時代の人口は年平均人口増加率〇・一%から〇・二%程度の間で推移し、平安時代前期の総人口は五〇〇万から五五〇万人程度と考えられること、東北地方への植民の背景に東国の人口動態を考える必要があることを見通した。これらの成果をふまえ、二〇二二年に『日本古代の環境と社会』(仮)の刊行を予定している。
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Research Products
(4 results)