2023 Fiscal Year Research-status Report
植民地テクノクラシーを超えるための台湾人による立憲的自治構想に関する研究
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18K00940
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野口 真広 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, その他(招聘研究員) (30386560)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アーカイブ / 立憲主義 / 台湾 / 帝国 / 植民地 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本統治期の民族運動家である楊肇嘉の政治的言動および蔵書の分析から、台湾人が立憲主義を政治運動の根本に据えつつ、日本帝国の植民政策に対して合法的な抵抗運動を展開していたことを引続き検証した。当時の植民地おける被支配者の言説が、当時の立憲主義思想とどのような関係性にあったのかを大英帝国内でのコモンウェルスにおける立憲主義を参照しつつ、検討を進めた。 海外での資料調査を進め、比較政治学的な視点から研究を継続している。植民政策の比較の観点から大英帝国のシンガポールやオーストラリアなどのコモンウェルスの自治と大日本帝国の台湾の自治との差異に注目し、関係資料を収集することができた。 本年はシンガポール国会図書館所蔵の植民政策およびシンガポール史について調査した。特にシンガポール国立大学名誉教授のEdwin Thumboo Collectionに含まれたシンガポール史関係資料の書誌情報を発掘し、植民政策の系譜とナショナルアイデンティティの形成について参照することができた。 植民政策には、支配のためのという制限がつくものの、近代化を広く社会内で進行させる機能を持っている。その効用を選択的・主体的に活用する現地の人々がいたことに注目する。 近代の長い時間軸の上で、支配のための植民政策の系譜が地域の統治政策へと継承されていく過程を整理し、日本における植民政策の当時における意味と現在における意味を踏まえつつ、その政策的な特徴について分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料の分析に予定よりも時間がかかっているものの、計画の 予想範囲内である。
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Strategy for Future Research Activity |
収集資料に対して、多言語的なマルチアーカイバルとテキストマイニングの手法を活用して分析を進める。
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Causes of Carryover |
予定していた海外調査が十分に行えなかったことによる。
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