2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the historical materials related to medieval Todaiji Daikanjin
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18K00942
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
小原 嘉記 京都女子大学, 文学部, 准教授 (40609202)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東大寺大勧進 / 紙背文書 / 妙興寺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続いて東大寺大勧進関係史料データベースを作成するための史料収集とデータ整理に取り組むとともに、データの整理などを行った。本来であれば写真帳・影写本などの史料調査によって未刊行史料の検索に多くの時間を割く予定であったが、新型コロナの影響により、史料所蔵機関の利用が大幅に制限される状況のなか、研究を遂行するにあたって非常に困難な環境にあった。幸いにも9月と3月に出張調査を行うことができ、論文執筆のための必要な情報を収集・確認することができたが、この時も写真帳の閲覧条件は通常よりも大幅に限られていたので、予定していた調査史料のうち未調査分を若干残さざるをえなかった。 本年度の取り組みと成果は以下の(1)~(4)である。(1)東大寺文書(寺外流出分を含む)に残る東大寺大勧進関係史料について、ほぼ全ての検索作業を終え、未翻刻史料に関しては鎌倉期のものを中心に翻刻作業を進めた。またこれらの史料のデータ整理を通じて、その伝来(戒壇院・新禅院・油倉や惣寺に由来すると考えられるもの)について一定の見通しを得ることができた。(2)これまでほとんど知られていなかったり、活用されてこなかったりした紙背文書を収集し、年代比定などの基礎的検討を行った。(3)東大寺大勧進の研究で頻繁に利用されてきた「周防国吏務代々過現名帳」の史料的考察を実施し、鎌倉中期の東大寺大勧進の歴代を根本的に見直し、通説の理解を改めた。それと同時に、従来不明確なままであった大勧進行勇以後の講堂再建事業についての進捗状況と、そこから派生する問題について明確化した。このほか(4)地方禅院と寺院造営のモデルケースとして妙興寺の寺領形成の政治史的検討を行った。以上のうち(3)(4)は、成果を論文として年度内に公表することができた。
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Research Products
(3 results)