2019 Fiscal Year Research-status Report
『歴代残闕日記』所収平安時代古記録のデータベース化
Project/Area Number |
18K00947
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
倉本 一宏 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (80215053)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 古記録 / 平安時代 / 古代史 / 史料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、いわゆる前期摂関政治期から、平安時代中期から末期に至る、『歴代残闕日記』所収の古記録を翻刻し、それを訓読してデータベース化することを目指している。ところが、2018年度に発見したとおり、『歴代残闕日記』が「・・・記」と名付けている古記録の内容は、しばしば実際にそれを記録した人物とは異なる古記録を誤解していたことが判明した。また、『歴代残闕日記』はその古記録のすべての部分を収めたものではなく、比較的入手しやすい年次のもののみを収めるという編修方針であったらしいことが判明した。 そこで方針を改め、他の部類記類に収められた逸文に対する原本調査を行ない、それらを参照することによって、現在残されているその古記録の全容を把握することを目指すこととした。それらも含めた(現状の)全容をデータベース化することによって、データベース化する古記録の数は減少することになるが、より精度の高い古記録研究とするためには、この方が有効であると考える。 また、その過程で発見した古記録逸文についても、できる限り訓読文を作成し、データベース化することとした。 2019年度は、『歴代残闕日記』に収められた平定家による『定家朝臣記』の現存部分のすべて(他の部類記類に収められた逸文も含む)に加えて、『後三条天皇御記』『寛治二年記』『八条式部卿私記』『高階仲章記』『清原重憲記』『元方卿記』『大后御記』をデータベース化することができた。 これらは、国際日本文化研究センター資料課の協力により、「摂関期古記録データベース」として、すでに公開している。これらのほとんどは、かつて活字化されたことはなく、その存在すら、研究者の間でも知られていなかったものもある。本研究が歴史・文学をはじめとする日本文化研究に資するところは、極めて大きいと評すべきであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ただ単に、編修の杜撰な『歴代残闕日記』に収められた部分のみをデータベース化するのではなく、『歴代残闕日記』に収められた古記録の内容を精査し、それらが実際には本当に『歴代残闕日記』に題された古記録であるのかどうかを確定した。 特に摂関期のものについて、『歴代残闕日記』に収められた部分以外の逸文を原本調査し、それらも含めた(現状の)全容をデータベース化した。また、これに付随して、『歴代残闕日記』に収められていたわけではないいくつかの古記録もデータベース化することができ、より精度の高い古記録研究とすることができた。 2019年度は、『歴代残闕日記』に収められた『定家朝臣記』の現存部分のすべてに加えて、『後三条天皇御記』『寛治二年記』『八条式部卿私記』『高階仲章記』『清原重憲記』『元方卿記』『大后御記』をデータベース化することができた。 これらは、国際日本文化研究センター資料課の協力により、「摂関期古記録データベース」として、すでに公開している。
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Strategy for Future Research Activity |
このまま巻を進めていっても、すでに中世に入ってきてしまっており、「摂関期古記録データベース」として公開するのは憚られる。そこで最終年度は、堂上平氏の平親信による『親信卿記』の現存全文(『歴代残闕日記』に加えて陽明文庫蔵写本)のデータベース化と公開を予定している。
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Research Products
(10 results)