2019 Fiscal Year Research-status Report
近世前期武家書状による政治情報伝播に関する基礎的研究
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18K00961
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三宅 正浩 京都大学, 文学研究科, 准教授 (30612303)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 武家書状 / 蜂須賀忠英 / 細川忠利 / 幕藩関係 / 大名家 |
Outline of Annual Research Achievements |
近世武家社会における書状を分析することによって、当該時期の武家社会における政治情報の収集・伝播状況とそのあり方を探るという本研究課題に基づき、本年度は前年度に引き続き研究の基礎となる史料収集を実施するとともに、近世武家書状のデータベース作成に着手した。 実施した史料収集活動としては、2019年9月に、山口県文書館(山口県山口市)において「毛利家文庫」の閲覧・撮影を実施した。ただし、本来は年度末頃に東京大学史料編纂所および国立公文書館への史料調査を実施する予定であったが、感染症の影響により次年度に延期せざるをえなかった。 武家書状のデータベースについては、蜂須賀家文書「草案」(国文学研究資料館所蔵)のデータ入力作業を研究協力者の補助を受けつつ実施し、蜂須賀忠英書状についてデータ入力を途中まで行った。また、細川忠利書状についてはデータ入力が完了し、松井家文書について、データ入力作業を開始した。今後、これらのデータを相互に参照しつつデータベース化していくことを予定している。また、武家書状分析を行うための参考データとするため、幕府史料のデータ入力作業も同時並行で進めている。作業の結果、近世前期の武家がやりとりしていた書状の数が想定以上に多いことが明らかになってきた。また、特定の相手と頻繁に書状を交換していることは当初から想定していたが、その具体像が解明できる見込みが得られた。 また、以上のような史料収集・データベース作成作業を行いつつ、近世前期武家書状を用いた成果として「近世前期の武家社会と都市京都」と題した論考を発表した。その他の研究成果についても、逐次発表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度から開始する予定であった武家書状のデータ入力作業について、前年度に所属研究機関が変わり研究環境が変化したために今年度に開始を延期していたが、予定通りに今年度から着手することができた。作業は当初予定よりも順調に進んでおり、遅れを取り戻せる見込みである。一方で、取りかかったデータ入力作業のうち、蜂須賀家文書「草案」の入力については予想以上に時間がかかることも判明しており、次年度に向けて作業計画の調整を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が本研究課題の最終年度となるため、データ入力作業を引き続き実施して完了を目指しつつ、研究成果のまとめをおこなう予定である。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、データ入力作業および史料収集作業に支障が生じることが見込まれ、状況を見ながら研究計画の一部変更も含めた対応が必要であると認識している。
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Causes of Carryover |
年度末頃に東京への史料調査出張を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて中止せざるをえず、当該調査を次年度に延期することになったため、次年度使用額が生じた。 感染症の状況を見つつ、可能となった時期に史料調査を実施する予定である。ただし、感染症の状況次第では研究実施計画を見直すこともあり、その場合は別の用途に適切に使用することになる。
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