2020 Fiscal Year Research-status Report
戦国期の秩序流動化・再構築メカニズムの研究―発給文書と秩序認識の関係を中心に―
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18K00962
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村井 良介 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (30419684)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 戦国領主 / 家中 / 領 / 地域秩序 / 判物 / 戦国大名 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は播磨国を中心に畿内近国の史料収集をおこなった。また前年度までに収集した史料と、本年度に追加調査した史料を用い、中国地方を中心に西日本の分析を進めた。 中国地方については、萩博物館、山口県文書館での追加調査の成果も用い、備後、備中、備前、美作について、戦国期における新たな地域秩序形成について分析した。とくに室町期の知行保全システムの戦国期における転換が、領域秩序とどう関連するのかについて分析を進めた。備後国では楢崎氏、湯浅氏等の領主について分析したが、これらの領主は有力で一定の自立性を有している一方、判物発給や領域的支配の成立が確認できない。美作国では三浦氏などが判物発給をおこない、一定の領域的支配を形成しているようにも見えるが、境目地域であるため領主層の盛衰が激しく、室町期の秩序からの変化は起こっているが、新たな秩序形成がどこまで進んでいるのかは検討の余地がある。室町期には在地の一揆的結合による当知行保全システムと、幕府による安堵および守護権力による施行のシステムがあるが、戦国期には新たな領主層による安堵がおこなわれるようになると想定される。しかしそれがどこででも起こったとは限らず、新たな領域形成につながる場合と、そうでない場合、またその領域支配を戦国領主が担う場合とそうでない場合があると考えられ、新たな領域的秩序が形成されるメカニズムについて検討を進めている。 畿内近国については、とくに播磨別所氏に関して史料を収集し、とくに判物発給と領域的支配の成立の可能性について検討しているところである。別所氏はその政治的影響力の大きさに比して、判物発給数が少ないと言える。このことも踏まえて戦国期の東播磨地域の領域秩序形成について分析を進めていきたい。 東国については関東から分析を進めている。現在、鎌倉府段階と戦国期の知行保全のあり方について比較検討を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新型コロナウイルスの影響で予定されていた研究会が延期になり、その影響で成果のまとめと公表が遅れている部分がある。また昨年度終盤に予定していた調査がコロナウイルスのため中止になったが、本年度も東京での調査を見送ったため、一部史料収集に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度もコロナウイルスの影響で調査の見通しが不透明な部分があるため、すでに調査を終えているところを中心に研究を進める。延期された研究会が2021年度内に開催予定であるため、それを受けて中国地方については成果をまとめ、公表したい。畿内近国は播磨を中心に、東国は関東を優先して分析を進め、これらについても成果をまとめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で予定していた学会・研究会への出席、および東京での史料調査が中止となったため、旅費を使用しなかった分を繰り越した。今年度も新型コロナウイルスの影響で不透明であるため、感染拡大地域への出張ができなかった場合は、別の地域での調査などで代替したい。
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