2019 Fiscal Year Research-status Report
A Research Study of Medieval Shinto Texts Archived at the Shinpukuji Temple
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18K00964
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
トレンソン スティーブン 早稲田大学, 国際学術院, 准教授 (10595432)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 真言密教 / 中世神道 / 真福寺 / 神祇書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本中世神道研究において重要な問題である、真言密教と神道との交流に光を投じることを目的としている。最新の中世神道研究の成果により中世神道の一つの基準点が醍醐寺(真言宗の寺院)にあることが判明された。『野決』(真福寺所蔵)という十二世紀末に醍醐寺で成立した聖教典籍には様々な神祇書が付随しており、その事実は醍醐寺の真言密教思想が中世神道の形成に影響を与えたことを示唆する。しかし、すでに十二世紀末に醍醐寺で中世神道説を伝える神祇書が成立したかどうかは疑わしく、醍醐寺の密教が中世神道へ与えた影響の程度も不明である。そのために、本研究では醍醐法流の密教と中世神道がどのような関係にあるのかを検討している。 昨年度に『野決』付随の神祇書に焦点を当て、その内容と教義的特徴を検討し分析した。特に、それらの神祇書における仏舎利と宝珠の役割に注目し、舎利・宝珠信仰を中心に中世における神道と密教の思想的交流について考察した。今年度はさらに、昨年度の研究で明らかになった神祇書の教義的内容を醍醐寺の密教思想の観点から見做し分析した。研究方法は、神祇書の教義を同時代の醍醐寺の密教思想と照らし合わせるという方法であるが、その醍醐寺の密教思想の中で中世神道と特に重要な関わりを持つのは即位灌頂という儀礼世界である。醍醐寺の即位灌頂の思想を神祇書の言説と比較することによって、醍醐法流が中世神道に多大な影響を与えたという仮説の妥当性を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は順調に進展しているが、本年度の三月に勃発した新型コロナウイルスのパンデミックの影響により出席を計画していた国際学会が中止となり、研究成果を口頭発表することができず、その成果の執筆にも十分に従事することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後研究作業を完成させ、研究成果をまとめることを予定している。研究計画調書では「量的に論文という形でまとめるのが困難であれば図書を刊行する」と述べていたが、パンデミックの影響もあり、図書ではなく、いくつかの論文を執筆して発表したいと思う。また、同じく研究計画調書で「本研究課題に関わる会議やワークショップを開催する予定である」と書いたが、これもパンデミックにより果たしにくくなった。一般的に言えば、パンデミックの影響により今年度の間に研究をまとめるのが難しいため、補助事業期間延長承認申請書を提出する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度にアメリカのボストンでAASという国際学会に参加する予定であったが、新型コロナウイルス拡大の影響でその計画が中止となった。これにより未使用分が計画より多くなった。また、次年度に参加を計画していた二つの海外国際学会(ベルギーのゲント大学、韓国のソウル)もパンデミックを理由に中止となったため、次年度に残りの全額を使用することが難しい。次年度にはできるだけ未使用分を物品費(研究関係の図書)及び旅費(資料調査や国内研究会など)に使用したいが、残りの交付額に関しては、次々年度に繰り越したく、そのために補助事業期間延長承認申請書を提出する予定である。
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Research Products
(4 results)