2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K00965
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森下 徹 山口大学, 教育学部, 教授 (90263748)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 城下町 / 奉公人 / 近郊農村 |
Outline of Annual Research Achievements |
秋田藩成立期の藩政との関係において、城下町・支城城下町のあり方を考察した。秋田藩は関ヶ原合戦後の減転封によって成立した藩であり、石高に比して過大な家臣団を抱えこんで出発せざるをえなかった。ために家臣団には末端に至るまでに地方知行を与え、新田開発を自力で行わせる体制をとることで自活をうながした。ところがそうなると、家臣団の年貢米処理という問題が発生する。そこで支城城下町を、政治的緊張関係が希薄化したあとも持続させ、そこにおいて処理させることとした。こうした経緯によって、支城に家臣団が駐屯を続ける独特な形態がとられたと見通した。これによって城下町の存立を周囲の農村社会との関係において成り立っていることを明らかにできた。 また和泉に陣屋をおく小藩における武家奉公人調達をめぐる著書の検討をおこなった。そして供給源として陣屋町近郊の農村があったことを確認できるとともに、その供給源となっている農村社会の動向から調達の推移を見通すことの重要性をあらためて指摘した。ただし、同時に奉公人市場の動向への目配りも必要であろうことも述べた。さらに陣屋町が所在する村だけでなく、そこに接する村も奉公人供給源としては一体であることが注目できるともした。近年の都市史研究において、たとえば江戸や大坂などに接する地域(地帯)が着目され、都市社会との関係において存立する地域性があるとされることに学んでも、城下とその周辺地域を一体の「城下町域」としてとらえる視角が有効であろうとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周防徳山城下周辺の史料については分析を進めることができた。 また岡山近郊農村の大庄屋史料(岡山記録資料館小西家文書)を整理したので、その分析に着手した。またそれ以外にも関連する大庄屋文書藤原文庫などの近郊農村史料を岡山市立中央図書館にて収集した。加えて、岡山城下の町方史料国富家文書の収集にも着手した。総じてこれらの史料をデジタルカメラにて一程度収集することはできたものの、コロナ感染症の流行によって収集しきることはできなかった。したがってそれらの分析作業も残されたままである。 同様にして、当初予定していた津山城下近郊農村の史料収集にも着手することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
岡山城下および周辺農村の史料群について、ひきつづきデジタルカメラによる収集作業を行う。そのうえで分析作業を進め、論考にまとめる。 また津山城下近郊農村史料についても収集作業、分析を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の流行により、予定していた史料調査を実施することができなかった。したがって収集した史料の印刷やそのための整理用謝金も使用できなかった。同様な理由で研究成果の報告を2020年3月にフランスで行われる国際学会で報告予定だったが延期となり、2020年度も引き続き延期となってしまったため。2021年度は史料調査を実施し、分析・整理の用途にも使用する予定である。
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Research Products
(2 results)