2019 Fiscal Year Research-status Report
Historiography of Social Movements in The Latter Part of The Twentieth Century in Japan : In Terms of Interdisciplinary Studies
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18K00969
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
相川 陽一 長野大学, 環境ツーリズム学部, 准教授 (90712133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 勝紘 専修大学, その他部局等, 参与 (40222707)
原山 浩介 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50413894)
白井 哲哉 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70568211)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 20世紀 / 社会運動 / 史資料 / アーカイブズ / 記録映画 / オーラルヒストリー / 学際研究 / 成田空港 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の本研究は、前年度に続いて、1)共同研究の進捗確認や意思決定を行う全体会、2)研究活動の基礎データとなる資料目録の作成や資料撮影等を実施する資料整理調査会、3)研究成果をプロジェクト内で共有する研究会を開催して研究を進展させた。1)全体会は、5月、8月、12月に計4回開催し、方針決定と進捗確認を行った。2)資料整理調査会は、5月、8月、11月、12月、2月、3月に計6回開催し、前年度に編成した文書資料研究グループと音声・映像資料研究グループの各領域で、研究のための基礎データを作成した。具体的には、成田空港空と大地の歴史館が収蔵する小川プロダクション資料等の整理を進め、文書資料の目録データを作成するとともに音声資料や映像資料の整理を進めた。小川プロダクションは1960年代から1990年代に千葉県や山形県等に拠点を置いた記録映画制作集団で、国内各地での上映運動を通じて高度経済成長期の日本における多様な社会運動(農民運動、住民運動、学生運動等)や地域史等に関する多数の資料を収集・作成した。資料形態は文書・音声・映像・モノ資料など多岐にわたり、国際的にも注目を集める資料群であることから主たる研究対象とした。3)研究会は、5月、8月、12月に計3回開催し、資料整理調査会で作成した資料目録や閲覧資料等に基づいて、本研究メンバーによる研究報告を行った。そして、8月の研究会には、矢嶋毅之氏(成田山霊光館学芸員)を招聘し、小川プロダクションが拠点とした千葉県北東部の近現代史をふまえた資料分析の可能性と課題について議論した。2月には小川プロダクション元スタッフへの聞き取り調査も実施した。これらの成果に基づいて、山形国際ドキュメンタリー映画祭(10月)、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会第45回大会(11月)、第19回日韓民衆史共同ワークショップ(2月)において研究成果の発信を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文書資料研究と音声・映像資料研究の双方の領域で、重点的に調査する資料群を選定し、多岐にわたる資料形態を有する小川プロダクション資料を主要な研究対象として、目録データの作成を順調に進めることができ、文書資料の目録化を進展させた。そして、目録データと閲覧した資料データ等を活用した研究会を継続的に開催して、資料の構造把握を進め、国内外の社会運動アーカイブズに関する情報収集も進展させた。小川プロダクション資料内の音声・映像資料についても整理を進めており、最終年度において双方の領域をつなぐ研究成果を出す見通しを得ることができている。そして、文書資料研究と音声・映像資料研究の進展に基づいて、小川プロダクションの元スタッフへのインタビュー調査にも着手しており、オーラルヒストリー・データの収集も進んでいる。 研究が進展するにつれて、国内外の現代史研究者と映像研究者に関心を寄せていただき、山形国際ドキュメンタリー映画祭2019や第19回日韓民衆史共同ワークショップにおいて招待報告の機会を得ることができた。前者は、歴史学やアーカイブズ学と映画学との間での領域横断的な対話の機会となり、日本映像学会第46回大会シンポジウムに招待報告の機会を得た(令和2年9月開催予定)。後者では、日韓の現代史研究者と2日間にわたってディスカッションする貴重な機会を得て、20世紀後半の日本における社会運動資料の重要事例として成田空港問題に関する資料に着目し、その収集・整理・研究活用に取り組む本研究が、国際的にも学術的な関心を得ていることが明らかになった。 以上のように、本研究は、令和元年度に計画した内容を問題なく実施し、国内外に成果を発信しており、次年度の最終成果報告に展開していくことが十分に可能である。このような理由から、本研究は、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における今後の推進方策は、令和2年度が最終年度であることをふまえて、資料整理調査会を継続開催しつつ、研究メンバーによる研究報告会の開催頻度を増やして、研究の集大成を図り、公開参加が可能な研究成果報告会を開催する。そして、最終年度末には、本研究で進めてきた資料目録を精査して完成させ、資料調査の成果に基づいた研究論文を刊行する。年度末の成果報告会は、研究成果の学会や地域社会への還元を目的として、関係学会等と連携して開催を検討していく。令和2年4月現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が国内外で流行していることから、研究メンバーや資料収蔵機関の安全確保を念頭に置いて、成果報告会の開催時期や開催形態等は慎重に検討していく。
【研究組織】 研究代表者:相川陽一(長野大学)/分担研究者:新井勝紘(専修大学)、白井哲哉(筑波大学)、原山浩介(国立歴史民俗博物館)/研究協力者:今井勇(アジア歴史資料センター)、森脇孝広(都留文科大学)、秋山道宏(沖縄国際大学)、金子美佐子(千葉大学大学院博士後期課程)/アドバイザー:波多野ゆき枝(成田空港 空と大地の歴史館)/資料整理補助スタッフ:秋葉真紀生(学習院大学大学院博士前期課程)
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Causes of Carryover |
令和元年度の研究成果として、小川プロダクションの制作した映画作品を長野県内で長期にわたって自主上映してきた地域住民から多数の資料の寄贈を受け、地方圏で自主上映運動を展開した人々が作成した新たな資料が多数発見された。これらについて、長野県に研究の拠点を置く研究代表者を中心に、資料整理と寄贈者へのインタビュー調査を実施し、目録データ作成等を行っているが、新資料のため、慎重な取り扱いが必要となり、新たに発見された資料の整理は、最終年度にも実施することとした。 また、令和元年度に予定していた研究活動の中で、9月に予定していた資料整理調査会が、関東地方に上陸し、広域的に甚大な被害をもたらした台風15号によって中止を余儀なくされた。資料整理調査会の開催等にかかる費用も、最終年度に繰り越すこととした。 最終年度には、新たに発見された長野県における自主上映運動の資料に関するデータ整備とデータ分析を実施するとともに、台風によって中止を余儀なくされた資料整理調査会を開催する予定である。
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Research Products
(9 results)