2019 Fiscal Year Research-status Report
Japanese political reaction to the East Asia situation of the middle in the 19th century
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18K00970
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
松尾 晋一 長崎県立大学, 地域創造学部, 教授 (40453237)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 太平天国 / 東アジア / 近世日本 / 幕府 / 長崎 / 情報 / 19世紀 / アヘン戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で対象とする19世紀中葉は、ウエスタン・インパクトという言葉が象徴するように東アジア情勢が大きく変化した時代であり、様々なルートから情報が日本に伝わって、それらの情報は日本に強い影響を与えた。日本史分野では、幕府の対露・英・米船問題、琉球の対仏・英・米・露船問題を取り扱った研究が数多くある。しかし朝鮮の対英・露・仏船問題はこれまで取り上げられてこなかった。アヘン戦争・アロー戦争については、北京-朝鮮-対馬ルートからの情報が踏まえられず議論されてきた。太平天国の乱に至っては、琉球への情報伝来の研究が若干あるものの、日本の対外関係の分析で取り上げられることがなかった。今年度は日本の開国・開港(横浜・箱館など)の動きを踏まえて、朝鮮の対英・露・仏船問題、アヘン戦争、太平天国の乱、アロー戦争に関する情報に注目した。 成果としては、大陸における太平天国の進軍が東アジアの国際関係に大きな影響を与え、そうした情報が朝鮮から対馬を通じて中国東北部の状況が、そして唐船、オランダ船から南京やマカオの情報が、また琉球から薩摩を通じて福州の情報が長崎には入ってきた。こうして江戸と同レベルの情報が、長崎に集積されていたことを確認した(「近世日本と「唐兵乱」-太平天国進軍の衝撃-」長崎県地方史研究会春季研究発表会、2019.7)。また、文久三(1863)年にイギリスとの関係悪化が長崎へもたらした影響を分析した。住民が戦火に巻き込まれることを想定して大村へ避難させたこと、住民の退避後の長崎は治安が悪化して長崎奉行にも手に負えない状態になり、その状態は他藩の家臣が幕威の衰えと認識するほどだったことを解明した(「幕藩制の揺らぎと長崎」『九州大学附属図書館付設記録資料館九州文化史資料部門「九州文化史研究所紀要」』63号、2020.3)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
韓国及び国内の調査を予定したが、コロナウイルスの感染拡大により、実現できなかった。そのため、本年度予定していた「朝鮮の対英・露・仏船問題」に関する史料の収集、及び分析ができなかった。しかし、研究実績の概要に記したように、その他は研究計画にそった研究を行え、その成果を公表すること、そして次年度へ向けての準備もある程度できた。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の移動制限が緩和される状況になれば、実現できなかった史料調査を実施する。研究環境の改善が見られるまでは、これまで収集した資料の分析に時間を充て、研究計画の実現可能なところを進めて行く。
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Causes of Carryover |
2020年春に予定していた国内出張・韓国出張がコロナウイルスの感染拡大にともない実現できなかった。史料所蔵機関などが閲覧を許可する状況になり次第、調査を行う予定である。
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Research Products
(3 results)