2021 Fiscal Year Research-status Report
Japanese political reaction to the East Asia situation of the middle in the 19th century
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18K00970
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
松尾 晋一 長崎県立大学, 地域創造学部, 教授 (40453237)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 長崎奉行 / 日記 / 皇賞 / 石火矢役 / 長崎警備 / 異国船来航 / 東アジア情勢 / 漂流民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、19世紀中葉に対馬から伝わった清・朝鮮情報が日本に流通していくメカニズムを解明し、その上で幕府・大名家による海外情報の受容と反応を史料から読み解き、「東アジア情勢」対「日本」の構図で日本の政治的反応の展開を検証することにある。本年度も昨年度に続きコロナウイルス感染症の感染拡大にともない、予定していた調査が実施できなかったものの、①日清間の外交文書、②フェートン号事件後の危機意識と異国船来航への警戒態勢維持、③軍役の記録化、に関する分析を試みた。 まず①については、日本人漂流民送還時の文書交換に関する史料の収集と分析を試み、松浦史料博物館、長崎歴史文化博物館への調査を行い、その成果を「日本人漂流民送還と外交文書の補足―「皇賞」の銀牌と「長崎鎮府之印」―」『東アジア評論』(14号、2022年3月)としてまとめた。つぎに②については、長崎で行われた異国船来航時を想定した調練の変化に注目して分析を行い「フェートン号事件と長崎警備の見直し」と題して佐賀城本丸歴史館第199回歴史館ゼミナールで講演し(2021年8月)、その内容を『『長崎県立大学論集』(第55巻第3号、2021年12月)に掲載した。そして③については、福岡藩士井上信元が記した日記の分析を行い、勤番の状況のほか、勤番の記録化、そして記録の機能など解明した(「長崎・勤番日記―石火矢役・井上信元が記録した意味」『近世日記の世界』ミネルヴァ書房、2022年3月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に記したような本年度の成果を公表できたものの、コロナ禍にあって調査ができない状況があり、当初計画していた韓国への渡航などができず予定していた史料の収集と分析が行えなかった。そのために次年度へ予算を持ち越し、研究期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の移動制限が緩和される状況になれば、実現できなかった史料調査を実施する。研究環境の改善が見られるまでは、これまで収集した資料の分析に時間を充て、研究計画の実現可能なところを進めて行くが、研究期間を延長したこともあり、夏過ぎごろには分析方法も含めた研究計画の検証を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍にあって調査ができない状況があり、当初計画していた韓国への渡航ができず予定していた史料の収集と分析が行えていない。そのため研究期間の延長を申請した。海外渡航などが可能になった場合には、予定していた調査をすみやかに行う。
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Research Products
(4 results)