2020 Fiscal Year Research-status Report
Ubiquitous information retrieval technologies for digital archives of historical characters and Kao signatures.
Project/Area Number |
18K00972
|
Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
耒代 誠仁 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 准教授 (00401456)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 古文書字形 / 花押 / 画像処理 / 情報検索 |
Outline of Annual Research Achievements |
古文書に記された字形および花押を情報処理技術で扱うための研究を実施している。具体的には、経年変化が字形/花押情報に与える変化を緩和・復元し、形状によって表現されるシンボルを特徴づける情報を抽出するための画像処理、抽出された情報を元に、類似性の高い字形/花押を検索する技術などの実現を目指している。 令和元年度までの研究活動により、機械学習手法を用いた古文書解析サービスのプロトタイピング、画像処理技術を用いた木簡画像からの字形抽出および復元の高度化を実現するスマホアプリ実現といった成果をあげることができた。前者は東京農工大学中川研究室との共同研究の成果として構築したWebサービスであり、ユーザーがくずし字の記された古文書画像をWebページに投函すると、文字列認識の結果を返すものである。Webサービス部の実装に当たってはJava Servletを利用することで処理速度と可搬性に配慮した。また、後者はiOSデバイス上で動作し、指による画面操作では変動しやすい筆圧や指先の速度などに対応したユーザーインタフェースの実装も行っている。 令和2年度については、これらの研究をさらに推し進め、高度化することを目指してきた。しかし、コロナ禍に伴い研究リソースへのアクセスに制限が生じ、また東京都内にある本務校において教育業務が大幅に増大したことから、必要な研究活動を実施することが困難な状況に陥った。結果として、同年度については研究成果と呼べる水準の結果を出すことができなかったため、令和3年度に向けて研究期間の延長を実施するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和元年度までの研究活動において、機械学習を用いた古文書画像の解析・認識サービスのプロトタイピングを行った。また、古代木簡画像に記された字形を画像処理技術で処理し、欠落した情報の回復あるいはユーザーによるアノテーションの付与などをスマートフォンで実施できるアプリの開発などを行った。しかし、令和2年度については、コロナ禍に伴い本務校研究室を含む研究関連リソースへのアクセスに制限が生じ、またオンライン授業化に伴う本務校業務および学生指導業務などの教育関連業務が急激に増大した結果、研究活動に大幅な遅延が生じることになった。その結果として、やむを得ず令和3年度に向けた研究期間の延長を実施することになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究成果の形で実を結ぶまでには至らなかったにせよ、進行中の研究については継続し、遅れはあるが結果に結び付けたいと考えている。令和3年度について、東京都内のコロナ禍での対応は新しいステージに移行し、本務校では新たに対面・オンライン混合のハイブリッド授業が採用され、教育業務については引き続き例年よりも高いエフォートを求められている状況ではあるが、令和2年度のオンライン授業に対して用意した教育リソースを活用することで研究活動のためのエフォートを捻出し、令和3年度の成果に繋げていく所存である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍に伴い、本務校研究室を含む研究リソースへのアクセスに制限が生じ、またオンライン授業実施などに伴う教育業務が増大した結果として研究のためのエフォートが大幅に削減された結果、十分な研究活動を実施することができず、予算の執行にも支障を来すこととなった。 令和3年度に向けた研究機関の延長に当たっては、令和2年度の執行分を含めてこれまでに執行した予算によって得られたリソースを効果的に活用しつつ、次年度使用額の有効性を高めていきたいと考えている。コロナ禍によって生じた教育業務の大部分はオンライン授業および学生へのリモートでのサポートに伴うもので、それによって生まれた新しい教育リソースは令和3年度に有効活用できる見込みである。したがって、令和3年度については研究のためのエフォート確保に向けた取り組みを再開し、同時に研究活動そのものも推進していく所存である。
|