2018 Fiscal Year Research-status Report
昭和戦時期から戦後期における技術官僚の政治史的研究
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18K00977
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
笹部 剛史 (若月剛史) 関西大学, 法学部, 准教授 (30625744)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 内務省土木局 / 官僚制 / 土木協会 / 日本政治史 / 行政史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昭和戦前期において、どうして内務省の土木系技術官僚が政策形成や官僚人事のあり方に対して不満を有するようになったのか明らかにし、そのことが戦時期の政治過程にどのように表出し、戦後の土木行政にいかなる影響を及ぼしたのか検討することに重点を置いた。 まず、東京大学や京都大学の各図書館で、内務省の土木系技術官僚によって結成された土木協会に関する史料調査を行った。その結果、土木協会は、外に対しては、事務官優位の人事(「法科偏重」)の是正や、土木系技術官僚のポスト確保に向けて、団結して動いていたが、その内部では、土木系技術官僚内における昇進や給与での学歴差別を背景として、深刻な対立を抱えていたことを明らかにすることができた。そして、それを克服するために、土木協会は「学閥打破」に取り組んだものの、その方法として考えられた採用試験制度の導入がなぜ実現できなかったのか検討を加えた。これらの成果は、関西大学法学会政治学研究会で報告するとともに、「昭和戦前期の官僚人事システムにおける「公正」 ―内務省土木系技術官僚を中心に」(佐藤健太郎・荻山正浩・山口道弘編著『公正から問う近代日本史』(吉田書店、2019年)として公表した。 他に、本研究で得られた知見を活かしながら、大正期から昭和戦前期における政官関係のあり方を、技術官僚などの官僚制の周縁的部分に光をあてながら概観した論文を発表した(「政党政治と専門官僚」、『歴史評論』817号、2018年)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昭和戦前期における土木系技術官僚の政治的動向を明らかにする一環として、彼らの動向に関する記事が多く掲載されている技術系団体の発行する機関誌を中心に検討を加えるとともに、彼ら自身が残した個人文書についても調査を行う予定であった。 このうち前者については、土木協会の機関誌(『土木』)などを中心として十分に調査を行うことができたと考えているが、後者については、大学での業務などによって出張の時間を十分に確保することができず、刊行史料を中心にとして行わざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行うことができなかった史料調査のための出張を、来年度以降に行うことで、研究の遅れを取り戻したいと考えている。具体的には、国立国会図書館や国立公文書館、土木学会図書館などで史料調査を行うことを検討している。あわせて、逓信省や鉄道省の技術官僚の政治的動向についても、史料調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
大学での業務などによって、本年度に予定していた史料調査のための出張を行うことができなかった。次年度には、これらの出張を行うとともに、当初から次年度に計画していた史料調査もあわせて行う予定である。
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Research Products
(2 results)