2020 Fiscal Year Research-status Report
日本古代における中国の怪異・卜占をめぐる知識と技術の受容
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18K00978
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Research Institution | Sonoda Women's University |
Principal Investigator |
大江 篤 園田学園女子大学, 人間教育学部, 教授 (10289051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久禮 旦雄 京都産業大学, 法学部, 准教授 (50726990)
佐々木 聡 金沢学院大学, 文学部, 講師 (60704963)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 亀卜 / 怪異 / 魔除け / 吉兆 / 鈴鹿家宮廷資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本古代における中国の怪異・卜占をめぐる知識と技術の受容について、知識と技術、それを媒介する人と書物、そしてその背景にある法と制度の観点から明らかにしてゆく。具体的には、日本古代において怪異を解説する役割を担った神祇官と陰陽寮に着目し、その知識と技術の実態を明らかにしてゆく。 本年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、限られた研究環境のなかではあったが、これまで成果をふまえ、京都産業大学むすびわざ館において特別展「東アジア恠異学会20周年記念展示 吉兆と魔除け-怪異学の視点から-」(2021年2月24日~4月14日)の企画、開催に関わった。この特別展は、「吉兆」と「魔除け」に係る文物をとりあげ、これまでの研究成果をふまえ、人々が願いや祈りを託した文物を通して、祥瑞災異思想や卜占技術など東アジアにおける思想や文化を知る手掛かりとした。展示にあったって、大江は「怪異学と怪異」「蘇民将来と疫病除け」、佐々木は「吉兆と祥瑞」「中国の魔除けとまじない」、久禮は「祥瑞と年号」をパネルとしてまとめ、それぞれの展示品のキャプションを執筆した。また、この特別展に関連して、東アジア恠異学会 20 周年記念フォーラム「吉兆と魔除け」をオンラインで開催した(2021 年 3 月 7 日)。大江が「東アジア恠異学会 20 年の歩み」という趣旨説明を行ったあと、「近世「髪切り」考―怪異のメディア論―」村上紀夫(奈良大学教授)、「恠異学で魔除けを扱うと云うこと」京極夏彦(小説家)という報告があり、久禮のコーディネートのもと「吉兆と魔除け―怪異学の視点から―」という討議を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、現地調査や文献調査が十分実施できず、学会、研究会、シンポジウムも中止、延期になったり、オンライン開催となったりしため、当初の計画どおり、研究成果をまとめるに至らなかった。 本研究は、2018年度は、神祇官と亀卜を中心に関連史資料の研究を行い、つづく2019年度は、天皇即位に伴う大嘗祭の斎田点定の儀で「亀卜」が実施されたことによる社会的関心の高まりから、大嘗祭と亀卜・骨卜に関するシンポジウムを開催した。また、大嘗祭での亀卜の研究をすすめていくなかで、これまで存在は知られていたものの、全容が明らかになっていない吉田卜部家宮廷祭祀資料の一部と考えられる鈴鹿且久家史料の概要調査を実施した。本年度は、昨年度まで収集した史料を中心に各自が研究をすすめるとともに、オンライン研究会を開催し、情報の共有を行った。なかでも、概要調査を実施した鈴鹿且久家史料については、点数を確認するとともに、所蔵者の鈴鹿且久氏の聞き取り、調査・記録の計画をたてた。また、皇学館大学・天理大学等に分散して所蔵されている吉田卜部家関係史料の目録など確認し、散逸した吉田卜部家宮廷祭祀関係史料の全容を究明するための基礎的調査を実施した。また、「怪異」を理解するうえで欠くことのできない天人相関思想に係る「天」の思想についての研究会や祥瑞災異思想についての研究を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
鈴鹿且久家史料を中心に吉田卜部家宮廷祭祀関係史料の調査をすすめるとともに、亀卜について得られた成果をふまえて、中国の術数、卜占、陰陽寮と式占の研究を行い、神祇官と陰陽寮の比較分析を進め、本研究課題を総括し、総合的な観点から日本古代の怪異・卜占の実態解明に繋げる。その成果は、関連分野の研究者を招聘したシンポジウムの場で発信し、総合討論を行うことで広くその成果の意義を問う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、現地調査や文献調査が十分実施できず、学会、研究会、シンポジウムも中止、延期になったり、オンライン開催となったりしため、当初の計画どおり、研究成果をまとめるに至らなかった。 次年度は、調査・研究を継続して実施するとともに、関連分野の研究者を招聘したシンポジウムの場で発信し、総合討論を行うことで広くその成果の意義を問う。
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Research Products
(8 results)