2021 Fiscal Year Research-status Report
複眼的視座から『財部彪日記』を読む―ロンドン海軍軍縮条約前後を中心に―
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18K00980
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
兒玉 州平 山口大学, 経済学部, 准教授 (30644405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 一臣 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (10467516)
中谷 直司 帝京大学, 文学部, 准教授 (70573377)
手嶋 泰伸 龍谷大学, 文学部, 講師 (20707517)
久保田 裕次 国士舘大学, 文学部, 講師 (70747477)
太田 久元 立教大学, 立教学院史資料センター, 助教 (20881410)
木村 美幸 福井工業高等専門学校, 一般科目(人文系), 助教 (40881066)
小倉 徳彦 九州大学, 人文科学研究院, 助教 (60908169)
藤井 崇史 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員 (20911829)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ロンドン海軍軍縮条約 / 海軍史 / ワシントン体制 / 国際関係史 / 海軍と社会の関係史 / 民政党内閣 / 財部彪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、『財部彪日記』(国立国会図書館憲政資料室)の記述を複眼的(軍事史・政治史・国際関係史・社会史・経済史)な視点から読み解き、かつその記述をもとに研究代表者・分担研究者がそれぞれの関心にもとづいて、個々に研究し、その成果を研究会を開催して共有した。 以下、本研究の目的に照らし、(1)『財部彪日記』の翻刻、(2)代表者・分担者・協力者がそれぞれの専門(国際関係史・海軍史・政治史・社会史・経済史)に基づく研究を展開しその成果を共有、(3)代表者が東京において行う資料調査、に分けて本年度の実績を整理する。 (1)代表者と分担者に加えて、さらに外部研究者のグループとも連携した。その成果は『財部彪日記〈海軍大臣時代〉』(芙蓉書房出版、2021年)として刊行された。同書刊行をもって、日記の翻刻については所期の目標を達成した。 (2)オンライン・ミーティングを活用し、代表者・分担者・協力者が1度以上研究報告を行い、活発な議論を交わすことができた。学際的な報告内容に加え、対象とする時期も、本科研が直接の対象とするロンドン海軍軍縮会議期にとどまらず、第1次世界大戦以前から1930年代なかばに及んだ。このことは、長期的な視野にたってロンドン海軍軍縮会議およびロンドン海軍軍縮条約の意義を再検討することにつながった。 (3)新型コロナウィルス感染症の状況をみながら、代表者が夏季休暇中に東京(三菱史料館・防衛省防衛研究所)において史料調査を行った。史料調査によって得た資料をもとに、代表者が論文2篇を執筆し、また代表者・分担者が翻刻・執筆に参加した書籍1冊が刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年度は、新型コロナウィルス感染症の拡大によって、予定していた研究会の開催、資料調査を断念せざるを得ないなど、所期の目的を達成することができなかった。一昨年度の反省を踏まえ、昨年度より、研究会をオンラインで毎月開催するなど、感染拡大の影響を最小限に抑えるための体制を整えている。ただし、『財部彪日記』の記述にもとづいた個々の研究という点において、史料収集が進まないなど感染症の影響は依然大きかった。 (1)『財部彪日記』翻刻・・・『日記』の翻刻については、2018年度以降4年間にわたる作業に加え、一昨年度からは外部の研究者と連携することができた。この結果、翻刻の成果を公刊することができた(『財部彪日記<海軍大臣時代>』(芙蓉書房出版、2021年))。 (2)研究会の開催・・・本年度は新型コロナウィルス感染症の影響を最小限に抑えるため、「対面」での研究会は当初から予定せず、オンラインでの研究会を計画した。この結果、代表者・分担者が感染症拡大の影響を受けずにオンライン上で一堂に会することができ、活発な議論・意見交換を行うことができた。 (3)資料調査について・・・代表者が、2018年以降、各年度複数回東京および関西圏で資料調査を行ってきている。ただし、新型コロナウィルス感染症の影響は大きく、資料調査が思うに任せない期間が長く続いた。 (3)に記述した、資料調査の遅れを踏まえ、今年度の進捗状況を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本科研の最終年度を迎えるため、本科研の成果をまとめる作業に入る。ただし、来年度もまた、新型コロナウィルス感染症の拡大状況をみながら研究を遂行する必要があり、必要に応じてオンラインでの研究会を重ね、所期の目的を達成したい。以下、(1)代表者・分担者各自の研究の深化、(2)研究会の開催に分けて記述する。 (1)代表者、分担者各自の研究の深化・・・両大戦間期の国際秩序の変容と、それを前提とした海軍の動向をテーマに、各自が論文の執筆を行い、論集の刊行を目指す。本年度までに代表者・分担者とも各自の専門に基いたテーマの選定を終えており、論文執筆の方向性はすでに定まっている。来年度は、新型コロナウィルス感染症拡大の状況をみながら、資料調査等を行い、代表者・分担者が論文の完成を目指す。ただし感染症拡大の影響から史料所蔵機関によっては、閲覧を中止したり、開館日数を大幅に削減したりする措置を取っている。研究の遂行に著しい支障をきたすような場合には、各自が論文を執筆するテーマの再設定も視野にいれる必要がある。 (2)研究会の開催・・・本科研は、『財部彪日記』を「複眼的視座」から読みとくことを目的としており、代表者・分担者の専門が多岐にわたる。このため、最終年度にあたる来年度には、少なくとも1回は対面で成果の共有を図る必要があると考える。夏季までの研究会開催は難しいと考えるが、必要に応じてオンライン研究会開催を行いつつ、秋季(10月以降)あるいは春季(2月~3月)には、本科研を総括する研究会を対面で実施したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、資料調査が予定通り進まなかったため、次年度使用額が生じている。来年度は、資料調査が行えなかった場合に備え、それを代替しうるデータベースのアクセスフィーの購入、資料集の購入等を検討しながら、研究に支障が生じないよう次年度使用額の執行を図る。
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Research Products
(3 results)