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2020 Fiscal Year Research-status Report

Historical study of Inner and Outer Mongolian maps made by the Japanese military

Research Project

Project/Area Number 18K00990
Research InstitutionTokyo University of Foreign Studies

Principal Investigator

二木 博史  東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (90219072)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 上村 明  東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (90376830)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords外邦図 / モンゴル史 / 地図作成 / 蒙疆政権 / 満洲国 / 関東軍 / 牧畜 / 土地利用
Outline of Annual Research Achievements

研究代表者は第1に、関東軍司令部が満州国とソ連・モンゴル人民共和国との境界の歴史地図として作成した『十万分一西部国境線関係要図』(1938年)の研究を継続した。本年度は本地図にえがかれた「チチハル協定線」に注目し、協定成立までのロシア・清の外交交渉のプロセスを具体的に検討し論文「日本の軍用地図にえがかれたチンギス・ハーンの長城―チチハル協定(1911年)と満州国・ソ連国境」(『モンゴルと東北アジア研究』掲載)を発表した。ロシアは満洲里駅の確保のために、1727年のアバガイト議定書(キャフタ協定の一部)でさだめられた国境を変更しようとした。このこころみは結局、成功しなかったが、そのかわりに、満洲里北方のかなりの地域を獲得し、国境を南の方向に膨張させることには成功した。
第2に、1937年にモンゴル連盟自治政府、察南自治政府、晋北自治政府の3自治政府の調整機関たる蒙疆連合委員会が成立し、日本軍の統制下に蒙疆政権が1945年まで維持されたが、この時期に作成された2枚の行政区画地図に注目し、「蒙疆政権発行の行政区画地図―蒙疆政権研究のための基礎資料」(『日本とモンゴル』掲載)を発表し、これらの地図が蒙疆政権研究の基本的な資料になりうることをしめした。蒙古自治邦政府興蒙委員会総務処『行政区画地図』は、モンゴル地域の農業化、漢化の度合を具体的にしめしている点に特徴があり、また資源地図的な部分は、日本の“植民地政策”とも関連している。
研究分担者は、モンゴル東部のハルハ河地域で予定している現地調査の準備、近刊のモンゴル古地図集『モンゴル地図』3巻の著者との意見の交換をおこなうとともに、モンゴル牧畜民の土地利用に関する研究成果を論文、著書(共著)にまとめた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新型コロナウイルスの流行の影響でモンゴル、中国で予定していた現地調査や国際会議出席はできず、一部の研究は期間を延長して、2021年度に完成させるというスケジュールにせざるをえなくなった。このような予期せぬアクシデントにみまわれたものの、これまで収集した地図資料にもとづき、内モンゴル地域で日本軍や日本軍の統制下にあった自治政府が作成した地図について研究をすすめ、その成果として、2本の雑誌論文(「日本の軍用地図にえがかれたチンギス・ハーンの長城――チチハル協定(1911年)と満州国・ソ連国境」および「蒙疆政権発行の行政区画地図――蒙疆政権研究のための基礎資料」)を発表することができた。最初の論文については、2020年12月に昭和女子大で開催された国際会議で口頭発表もおこない、研究者からの評価もえている。日本の軍部や公的機関がモンゴル地域で作成した地図の研究は、これまで体系的になされたことがなく、本研究はその最初の本格的なものになるが、資料の収集と分析の面で有意義な成果をつみかさねつつあると、評価しうる。

Strategy for Future Research Activity

コロナ禍のために、3年間の研究期間を1年延長せざるをえなくなった。当初の計画では最終年度に研究成果を共有するための国際会議のモンゴルでの開催を想定していた。状況が改善されれば、モンゴル現地でワークショップを開催し、歴史地図研究者と意見の交換をおこなう。本年度も海外渡航がむずかしい場合は、オンラインによる会議の開催も検討する。
モンゴル地域の外邦図の全体像を構築する方法としては、科学書院刊の『中国大陸十万分の一地図集成』および『旧満州五万分の一地図集成』にふくまれない地図のリストの作成が有効であり、国立国会図書館、防衛省防衛研究所、アメリカ議会図書館に所蔵される外邦図の調査をひきつづきすすめる。
内モンゴル地域で諸機関が測図しておもに陸地測量部が製版した外邦図は、初期の秘密測量による精度のおちる地図から航空測量による精密な地図まで、さまざまな地図がのこされている。これらの地図を現在の内モンゴルの地図と比較することにより、景観の変化、住民の変化などを研究することが可能であり、内モンゴル東部の牧畜地域を中心に比較をすすめる。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスの流行の影響で、予定していた現地調査ができなくなったため、研究期間を1年延長したため。
モンゴルへの渡航のための旅費および地図資料の購入に使用する予定。

  • Research Products

    (6 results)

All 2021 2020

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 日本の軍用地図にえがかれたチンギス・ハーンの長城―チチハル協定(1911年)と満州国・ソ連国境2021

    • Author(s)
      二木博史
    • Journal Title

      モンゴルと東北アジア研究

      Volume: 6 Pages: 179-194

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 蒙疆政権発行の行政区画地図―蒙疆政権研究の基礎資料2021

    • Author(s)
      二木博史
    • Journal Title

      日本とモンゴル

      Volume: 55 Pages: 148-159

  • [Journal Article] "Belcheer ezemshuulekh" tukhai onol ba praktik2020

    • Author(s)
      Kamimura Akira
    • Journal Title

      Mongol ugsaatan sudlal

      Volume: 2020 Pages: 27-35

  • [Presentation] 日本の軍用地図にえがかれたチンギス・ハーンの長城2020

    • Author(s)
      二木博史
    • Organizer
      第13回ウランバートル国際シンポジウム
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Book] 近代内モンゴルにおけるモンゴル語出版物の歴史ー出版社と知識人を中心に2021

    • Author(s)
      広川佐保、二木博史、都馬バイカル、フフバートル
    • Total Pages
      100
    • Publisher
      成文社
  • [Book] 牧畜を人文学する2021

    • Author(s)
      シンジルト、地田 徹朗、上村明他
    • Total Pages
      250
    • Publisher
      名古屋外国語大学出版会
    • ISBN
      978-4-908523-29-8

URL: 

Published: 2021-12-27  

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