2018 Fiscal Year Research-status Report
フランス奴隷貿易と国際商業都市ナントの海運ネットワーク
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18K01021
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大峰 真理 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (70323384)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フランス奴隷貿易 / 国際商業都市ナント / 貿易商人 / 海運業者 / 港湾実業界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、フランスによる奴隷貿易の進展と国際商業都市ナントによる海運ネットワークの構築との連関を明らかにすることである。とりわけ、1.ビルバオ貿易従事者、2.カディス貿易従事者、3.ダンケルク貿易従事者について、一次史料-教区簿冊と公証人文書-を分析し、彼らの実像と港湾実業界における配置を明らかにしていく。申請者はこれまですでに、a.アンティル諸島直行貿易とサン=ドマング島プランテーション経営者、b.アイルランド貿易従事者と両替・銀行家およびプランテーション経営者、c.リスボン貿易従事者と薬種・繊維製品取り扱い商人という集団を見出しているので、本研究で上記1~3の分野に参与する商人集団を実証できれば、都市ナントによる海運ネットワークの全体を描出することが可能になる。 研究の1年目にあたる2018年度(平成30年度)は、1.ビルバオ貿易とカディス貿易の内実を可視化するための作業を進めた。具体的には、『船舶艤装申告書一覧』(2011年申請者が発行)に含まれる記録情報のうち、ビルバオを目的地とする船舶およびカディスを目的地とする船舶を抽出して整理した。 また、ロワール・アトランティック県文書館(フランス・ナント)が保管する公証人文書(Sous-serie4E)と教区簿冊(Fonds Freslon)を確認し、貿易商人の実像と活動に関する情報を抽出・整理した。 さらにフランス語での著書出版計画については、フランス人研究者および関連する出版会関係者と協議する機会をもち、本計画の期間中に完成・出版できるよう、打ち合わせを続けていくことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した当該年度の方法と計画は、おおむね順調に実行できた。現在は、その成果を論文または研究ノートの形式で執筆しているところである。 フランス語図書としての出版については、引き続き先方との協議および具体的手続きの確認を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
網羅的な史資料収集(『船舶艤装申告書一覧』)の結果をよりどころとしながら、史料記録情報を精緻にデータ化する基礎研究を続けることが重要である。 また、導き出される結果をこれまでの研究蓄積と連動させ、港湾都市の活動の全体を描出し、成果を綜合して公開する。
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