2022 Fiscal Year Annual Research Report
The French Slave Trade and the Shipping Network of the International City : Nantes
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18K01021
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大峰 真理 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (70323384)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フランス奴隷貿易 / 国際商業都市ナント / 貿易商人 / 海運業者 / さとうきび農園経営 / 王立植民会社 / 小アンティル諸島 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はフランス奴隷貿易の進展と国際商業都市ナント海運ネットワークの構築との関連を明らかにすることである。 申請者は、研究準備期および期間前半までにロワール=アトランティック県文書館が保管する史料「船舶艤装申告書」を網羅的に調査・整理・分析した。その結果、アンティル諸島直行貿易従事者、アイルランド貿易従事者と両替商=銀行業者、リスボン貿易従事者と薬種・繊維製品取扱業者という集団を描出した。そこで研究期間後半には、現地文書館に赴いてビルバオ貿易従事者、カディス貿易従事者、ダンケルク貿易従事者に関する教区簿冊と公証人文書を調査し港湾実業界を解明しようと計画していた。 しかし、2020年初めからCOVID-19感染症が地球規模でまん延し渡航制限が措置されたため現地調査が不可能になった。そこで申請者は研究方法を変更し、WEBでアクセス可能な史資料調査に着手した。その結果、フランス海外県において史資料のデジタル化がよく進んでいることがわかった。そこで、フランスによるカリブ海諸島の植民と奴隷労働力を投入したプランテーション経営についてその進展の歴史を考察することに力点をおき、史資料の調査・整理に着手した。とりわけ、グアドループ県文書館史資料公開サービスを活用して、さとうきび栽培と粗糖製造の歴史展開の解明に挑んだ。2022年2月に発行した共著書はその最初の成果である。この執筆を通じて、王国政府および海港都市による小アンティル諸島植民化の展開を実証的に考察する可能性を確信できた。 未曽有の感染症拡大によって研究の方法・計画の一部変更を余儀なくされたが、一方で環大西洋商業圏に構築される海運ネットワークを多様な史料によって論証する可能性をえた。本研究期間の最後(2023年3月)に行った報告「フランス・インド会社、ナント港湾実業界、小アンティル諸島プランテーション」は、その具体的表明である。
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