2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the transnational transfers of British charities, 1870-1950
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18K01027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金澤 周作 京都大学, 文学研究科, 教授 (70337757)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 赤十字 / 傷病兵救護 / 民間人救護 / セーブ・ザ・チルドレン / トランスナショナル・ヒストリー / チャリティ / 国際人道支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はイギリスで誕生したセーブ・ザ・チルドレン(1919年~)活動のトランスナショナルな伝播の実態を検討する最終年度として、二つの方向からとりまとめを図った。 ひとつは、より過去に起源をたどることであった。なかでも1870年の普仏戦争が大きなきっかけであり、本研究では、傷病兵救護のためのthe British National Society for Aid to the Sick and Wounded in War(NAS)と、民間人(非戦闘員)救護のFriends’ War Victims’ Relief Fund (FWVRF)の活動について、基本史料と近年の研究に基づき確認した。 もうひとつは、創設者エグランタイン・ジェブの1928年における死後のセーブ・ザ・チルドレン運動のトランスナショナルな展開を考えるため、裏方としてこれを支えたEdward Fuller(イギリスのセーブ・ザ・チルドレンの機関誌の編集と広報のトップ)の役割を調査した。3月には渡英し、バーミンガム大学のCadbury LibraryにてPapers of Edward Fuller - c 1860s-1956を閲覧し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのWomen's Libraryにて、Fullerが1945年に手掛けたBBCのラジオ番組でのエグランタイン・ジェブ伝の脚本などを閲覧した。これらによってこれまで注目されてこなかった実務の試行錯誤について、新たな知見を得られた。 6年間の研究を通じて、イギリスのチャリティを、本国・帝国のみならずトランスナショナルなスケールでとらえなおすことができた。その成果は、とりわけ岩波新書『チャリティの帝国』(2021年)に表れているが、世界の「福祉」を歴史的に位置づけなおすことを目的とした、現在準備中の共編著でも活かされている。
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