2019 Fiscal Year Research-status Report
中近世ヨーロッパにおける司牧活動に関する諸修道会の比較研究
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18K01031
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大貫 俊夫 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (30708095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤江 雄一 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (50548253)
武田 和久 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (30631626)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 西洋史 / 修道制 / シトー会 / 托鉢修道会 / イエズス会 / 司牧 / 教会史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、宣教、説教、救貧なども含む諸活動を「広義の司牧」と定義し、中近世の諸修道会(シトー会、托鉢修道会、イエズス会)がそこにもたらした革新的要素と、信仰の内面化や社会の規律化、信徒共同体の形成・発展に果たした役割とを比較史的アプローチで解明する共同研究である。 研究計画調書に記載した通り、本年度は研究目的のうち②「テクストの作成・伝播・活用」と③「司牧をめぐる緊張関係とその社会的背景の考察」を明らかにするべく、各自研究を進めることに主眼をおいた。研究代表者はドイツの文書館、図書館で史資料の収集・分析を行い、分担者も欧米で出版された研究書の収集・分析を行った。さらに、本プロジェクトの成果として2020年度に英文論文集(仮題 Pastoral Care and Monasticism: ca. 800-1650)の出版を予定しているが、そのための原稿執筆、編集作業を精力的に進めることができた。当初の予定を超えて、キリスト教修道会の比較のみならず、中世日本の仏教寺院やキリシタンについても比較分析する内容になっており、学術的に大きなインパクトが期待される。 また、本プロジェクトに関連するテーマで、研究会を2回開催した。2019年7月2日には黒田祐我(神奈川大学)「イベリア半島の騎士修道会をめぐる歴史と議論」と佐治奈通子(東京大学)「オスマン朝下のカトリック教徒研究の現状ークレシェヴォ修道院所蔵のオスマ・トルコ語文書群研究のために」、2019年10月1日には林賢治(フライブルク大学)「12 世紀ヒルザウ系修道院の armarius」の報告を得て、共同研究に資する議論を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は各自の研究を進めることに主眼を置いたため、研究代表者と分担者による論文の公表や研究報告はなかった。しかし、文書館、図書館での史資料収集では一定の成果が見られ、2020年度に出版予定の英文論文集の原稿執筆、編集作業は着実に進んでいることから、進捗状況として十分であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的を達成するべく個人研究を進めるほか、本プロジェクトの成果として、修道制と司牧の関係について長期的な視野からキリスト教の諸修道会、日本の仏教寺院、キリシタンを比較分析する英文論文集をドレスデン工科大学の比較修道会史研究所と共同で刊行する。また、2~3回研究会を開催して、修道会史に関する歴史叙述のあり方を共同で研究する。
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Research Products
(7 results)