2019 Fiscal Year Research-status Report
近現代ドイツにおける酒場の政治的役割に関する実証的研究
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18K01036
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
原田 昌博 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60320032)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 近現代ドイツ / 政治的暴力 / 酒場 / ベルリン / ナチズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近現代ドイツ(第二帝政からワイマル共和国まで)において「酒場(LokalあるいはKneipe)」が労働者を中心とする大衆と政治との接点になっていたことに着目し、首都ベルリンおよびプロイセン州内の他地域における酒場の政治的な役割や機能(政治的集会や組織への勧誘などを通じて大衆の政治化に果たした役割や、そこで発生する政治的暴力の実態)を明らかにしていくことを目的とする。 2019年度においては、ドイツの公文書館や図書館に保存されている一次史料の調査・収集を活動の柱とした。具体的には7月下旬から8月中旬にかけて渡独し、ベルリン州立文書館で研究課題に関する未公刊史料の調査・収集を行った。ここでは、19世紀末から1930年代前半のベルリン警察本部の資料やワイマル期のベルリン地方検察の記録を中心に閲覧した。その結果、当該時期の政治的街頭闘争において「酒場」が果たしていた役割やベルリンにおける政治的酒場の存在を確認できる種々の史料を入手することができた。また、ベルリン国立図書館では、研究課題に関連する文献、特に日本では入手困難な文献の閲覧と複写を 行った。 さらに2019年度には、前年度に収集した史料の分析を進め、その成果を2本の論文として公表した。その内容は第二帝政期からワイマル共和国期にかけての政治的酒場の実態およびその酒場を中心に展開されたワイマル期の政治的暴力の実態の解明であり、これによって研究課題の中心をなす部分を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りベルリンで研究課題に関する調査を実施することで有益な史料および文献を入手することができ、また前年度に入手した史料および文献を活用して論文として公表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に入手した史料および文献の講読・分析を行い、その成果を論文としてまとめる。また可能であれば、学会等で本研究課題について報告し、その成果を総括する。
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Causes of Carryover |
論文の発行が年度末ぎりぎりとなり、その抜刷代の支出ができなかったため。
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Research Products
(2 results)