2018 Fiscal Year Research-status Report
中近世ヨーロッパの身分制議会における君臣間の合意形成プロセスの解明
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18K01048
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
堀越 宏一 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20255194)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中世ヨーロッパ史 / 近世ヨーロッパ史 / ロレーヌ / 身分制議会 / 租税 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度には、バール=ロレーヌ公領の身分制議会と課税をめぐる状況全般について、先行研究の総括的検討を中心として作業を進めた。 バール=ロレーヌ公領における身分制議会は、1288年にバール伯チエボー2世が、サン・ミエルに召集した貴族集会に始まる。その後、1419年3月20日のフグ 条約により、ヨランド・ダラゴンの息子であるルネ1世(1409年生まれ、当時ギーズ伯、1430年からバール公、1431年から妻イザベル経由でロレーヌ公、1434年からアンジュー公)とイザベル・ド・ロレーヌ(1400年ごろ生まれ、ロレーヌ公シャルル2世(1431年没)の女性相続人)との結婚(1420年に結婚)とルネ1世へのバール公領の相続が承認される。この結婚により、バールとロレーヌ両公領の同君連合が成立する。ルネ1世は、1480年に亡くなるまで、バール公の称号は保持するが、ロレーヌ公領は公妃イザベルが亡くなった1453年に、長男ジャン2世(位1453-1470年)に譲った。 このような相続問題を通じて、ロレーヌ地方における公権力の所在が弱体化した時期には、両公領の家臣団と共に、同地方の3司教領(Metz, Toul, Verdun)の司教が中心となり、一種の「摂政評議会」を主体とする統治が行われた。このあたりの事情が、16世紀以降、フランス王国における強力な王権のあり方とは対照的な、ロレーヌ=バール公領の公権力の相対的な弱さ、公領諸身分=三部会勢力の優勢、課税に際してのロレーヌ=バール公側のあまり強権的ではない姿勢という、ロレーヌの特徴となっていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度には、バール=ロレーヌ公領の古文書史料の大半が所蔵されているムルト・エ・モゼール県文書館(在ナンシー)が移転のために閉館されていたため、同公領の身分制議会と課税に関連する古文書史料に接する機会を持つことができなかった。その一方で、2019年3月には、パリの国立図書館に収蔵されている Collection de Lorraine 文書群における関連文書の調査を行ったが、部分的な情報の収集に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
1437年から始まるロレーヌ=バール公領三部会の主要機能は、援助金 aides 徴収に対する投票を行うことと、その割当て、徴収、支出を監視することにあった。その後、16世紀前半に至る時期における課税と三部会同意との関係を、ムルト・エ・モゼール県文書館所蔵の古文書史料に即して、具体的に追求することが今後の課題となる。
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Causes of Carryover |
2018年度には、バール=ロレーヌ公領の古文書史料の大半が所蔵されているムルト・エ・モゼール県文書館(在ナンシー)が移転のために閉館されていたため、予定されていた海外調査費用の全額を使用することができなかった。
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Research Products
(2 results)