2019 Fiscal Year Research-status Report
Culturally Hybrid Women on Trans-Pacific Women's Network
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18K01055
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
安武 留美 甲南大学, 文学部, 教授 (10351751)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 環太平洋 / 女性ネットワーク / 女性参政権 / 女性被参政権 / ソーシャルフェミニズム / グローバル化 / 国際連携 / 労働者保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀初め「資本主義の人道化」を目指した環太平洋地域の国際女性運動が、台頭する人種・民族ナショナリズムとどのように向き合ったのか、特に戦間期の国際連携の試みと挫折、そして対立・紛争の諸相とどう関わったのか、環太平洋女性ネットワーク上に登場する文化的ハイブリッドな女性の活動に注目しながらその深層を明らかにしようとするものである。 令和1年度は、前年度に引き続き、戦間期の国際女性運動の高揚に重要な役割を果たした女性参政権運動が、アメリカでは連邦憲法修正19条成立によりその目的を達成した1920年以降、どのように変化したのか、またその変化がハワイ準州および環太平洋地域にどのような影響を与えたのかについての研究を進めた。その結果、1920年以降、準州ハワイでは、文化/人種的にハイブリッドなハワイ人および白人女性が連帯してハワイ準州議会および合衆国連邦議会への働きかけを行い、憲法修正第19条には明記されていなかった女性の被選挙権をハワイ準州組織法修正により獲得するまでの過程が明らかになった。この研究成果は論文"Women in Hawai'i and the Nineteenth Amendment"として発表した。 また、そのような成果を上げたハワイの文化/人種的にハイブリッドなハワイ人および白人女性たちの活動は、文化的にハイブリッドなハワイのアジア系女性や環太平洋地域のアジア人女性、さらにはアメリカ本土の白人女性活動家とどのような関係にあったのか、戦間期(特に1920年代後半から1930年初め)にホノルルを中心に展開された女性たちの国際的な活動に焦点を当て分析を進めた。その成果の一部は「ハワイにおけるトランスナショナルな女性運動といわゆる"Foreign Language School Controversy" 」として北米エスニシティ研究会12月例会で口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たな資料収集を始めるに十分な資料解読をすることに予想以上の時間がかかったこと、さらにはコロナウィルスの拡大により国内外への移動が困難となり、予定を遅らせた資料収集・調査活動が実現できなくなった。そのために空いた時間は、研究成果をまとめたり、収集済み資料の整理や解読に費やした。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルス感染が収束するまでは、資料の閲覧や収集のために遠方の図書館やアーカイブを訪問することは困難であると予想される。それが可能となるまでは、今手持ちの資料の整理や解読を進めるとともに、インターネット上で閲覧できるデジタル資料の検索やメールを通じての調査・研究を行う予定である。また、研究成果を新たな論文としてまとめることに着手する。そして国内外への移動が可能となった暁には、東京の国会図書館本館、米国ワシントンの議会図書館と公文書館、ニューヨークのFDR Presidential Libraryなどでの調査/資料収集を実現したい。 本年度の5月末にこれまでの研究成果の一部を発表する予定であったバークシャー国際女性会議もコロナウィルス拡大のためキャンセルとなってしまった。この会議で発表するために書き始めた原稿を近いうちに完成させて新たな発表の機会を探したいと考えている。
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Causes of Carryover |
既に入手した資料の解読に時間がかかり新たな調査および資料収集の開始が遅れた。さらにはコロナ感染拡大のために2月以降国内外への移動ができなくなり、予定を遅らせた調査・資料収集活動を実施することができなった。そのために次年度使用額が生じたが、コロナ感染拡大の収束後、遅れている調査・資料収集活動や他の研究者との意見交換のために、使用する予定である。
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Research Products
(2 results)