2020 Fiscal Year Research-status Report
五条坂の窯業考古学的研究-多様性と「伝統」の現在-
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18K01073
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
木立 雅朗 立命館大学, 文学部, 教授 (40278487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
余語 琢磨 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (00288052)
ナワビ アハマッド矢麻 早稲田大学, 會津八一記念博物館, 助手 (60802882)
田畑 幸嗣 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60513546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 京焼(清水焼) / 登り窯 / 3D写真測量 / 聞き取り調査 / 近現代文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍により、当初予定していた登り窯の3D写真測量調査ができなかった。また、聞き取り調査も一部にとどまった。 そのため、昨年度までに実施した調査成果をまとめる作業に集中し、研究成果の摺り合わせを行った。対面での摺り合わせができなかったが、zoomを活用することで、相応の進展をみた。 その結果、上田恒次窯の3D写真測量成果をまとめ、ナワビが日本文化財科学会大会(WEB)で報告した。さらに、3D写真測量の成果と聞き取り調査・文献調査の成果をまとめ、余語・木立が令和2年度京都市埋蔵文化財研究所文化財講演会で報告した。余語は文化人類学的なアプローチをとり、これまでの「京焼」や「登り窯」の認識を新たにした。木立は澤野久雄の短編小説に描かれた五条坂や清水焼の描写から、登り窯の歴史に迫るとともに、インバウンドとコロナ禍で大きく疲弊しつつある五条坂の現状と課題について報告した。また、木立は京都府立京都学歴彩館の共同研究会報告書に道仙化学製陶所をはじめとする窯元の近現代文書を紹介し分析した。そして、五条坂の地元インテリアデザイナーが記録した強制疎開前後の五条坂の町並みを詳細に記録した屏風絵を分析し、その中間報告を紹介することができた。ナワビがまとめた3D測量記録、余語の聞き取り調査、木立の近現代文書や小説の分析は、従来の京焼研究や登り窯研究にはなかったデータであり、京焼研究の新しい研究方法を示すものだと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍によって2020年度に予定していた現地調査の大半を延期せざるをえなかった。具体的に当初予定していたのは、五条坂京焼登り窯(旧藤平)の3D写真測量、河井寛次郎登り窯・小川文斎窯の補足測量調査、登り窯に関わる聞き取りである。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の状況によっては変更せざるをえないが、8月~9月上旬に五条坂京焼登り窯(旧藤平)の3D写真測量を行う計画である。また、周囲関係者への聞き取り調査を8月~12月、近現代文書のデジタル・アーカイブと分析を5月~12月に行う計画である。デジタル・アーカイブについては、すでに一部進行中である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、野外調査のほとんどを延期せざるをえなかったため。特に東京在住の共同研究者が京都で調査を行う旅費を中心にしていたため、ほぼ執行することができなかった 本年は8月~9月上旬に五条坂京焼登り窯(旧藤平)の3D写真測量を行う計画である。また、周囲関係者への聞き取り調査を8月~12月に行う予定である。また、近現代文書のデジタル・アーカイブと分析を5月~12月に行う計画である。それらの調査旅費と聞き取り調査のテープ起し、調査に係る消耗品費用を執行する計画である。
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