2021 Fiscal Year Annual Research Report
Ceramic Archaeological Study of Gojozaka -Diversity and "Tradition" Today
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18K01073
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
木立 雅朗 立命館大学, 文学部, 教授 (40278487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
余語 琢磨 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (00288052)
ナワビ アハマッド矢麻 早稲田大学, 會津八一記念博物館, 助手 (60802882)
田畑 幸嗣 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60513546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 五条坂 / 京焼清水焼 / 京式登り窯 / 三次元計測(SfM-MVS ) / 五条坂京焼登り窯(旧藤平) / オーラル・ヒストリー / 職人長屋 / ロージ(路地) |
Outline of Annual Research Achievements |
五条坂京焼登り窯(旧藤平)の三次元計測を行い、胴木間・9の間・煙室・煙突の内部も含めて記録をとることができた。その結果、煙室と煙突の構造が炎のいきおいを制御する役割を担っていることがわかった。小川文斎窯はやや異なる形状だが、基本的には炎の流れを制御する点で共通している。煙突は煤煙問題に対応して近代以降に作られたと考えられるが、それによって炎が引き過ぎるため、制御装置が必要になったのだと想定している。五条通りの南側(音羽川沿い)は煙突を持たない吹き出しが多かったが、北側は明治後半以降に新たに設置された窯が多く、基本的に何らかの煙突をもっていた。二つのタイプの登り窯(吹き出しと煙突)の床面傾斜は酷似するが、それは煙室が制御装置として働いていたおかげであることが明確になった。 また、五条坂の旧家が所有していた近現代文書の整理とデジタル・アーカイブを行なった。これらの中には町内会関係の行政文書が数多く含まれており、地券・戸籍・地租に関わる行政文書の控え、地籍図など、地域の詳細な記録として注目された。これらの整理により、明治から昭和前期に至る住民の詳細な実像と変遷の実態を知ることができるた。近年報告された弓矢町の研究と連携した研究と連携した、さらに面的な成果が期待された。これらの町会文書によって、地域住民の記憶の多くが失われていること、その齟齬の上に各時代の地域イメージを形成していることが注目された。 さらに、道仙長屋とロージの関係性について調査を深めるため、河井寬次郎記念館のロージについて民俗考古学的調査を行なった。敷地奥に築かれた登り窯にとってロージは必要不可欠な作業通路だが、元来は長屋を結ぶ生活道路からはじまっていることを明らかにした。また、職人長屋の建築学的な研究がほとんど確認できないため、西山卯三研究室の資料調査を行ない、建築学的研究の研究史を整理した。
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