2020 Fiscal Year Research-status Report
Theorising Global Administrative Law
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18K01227
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中村 民雄 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90237412)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 国際行政法 / 規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、英国のEU脱退(Brexit)が20年1月末に実現したものの、その後の英国とEUの将来関係協定の交渉が2020年12月まで成否不透明のまま進行し、実証的な研究の部分はほとんど進捗を見なかった。他方、2020年度には国際行政法の理論的な基礎と問題点を整理することに努め、この点での成果を得た。 まずPaul Craig, UK, EU and Global Administrative Law: Foundations and Challenges (Cambridge U. P., 2015)の議論を整理し、それを基礎に他の研究論文の収集と整理を行った。この作業を通して、国際行政法の理論構築の方法として、国際組織だけでなく、越境的な規制力を及ぼしルール形成を事実上行う非政府主体(業界団体、規格平準化団体など)についても、組織法、手続法、実体法のそれぞれの側面について共通の視座から分析して整理し、次に、どの規制組織・機構にも共通する法の原則や特定の基本的価値(人権・基本権の保護や法の支配など)があるかどうかを確認するという作業をするのがよいと考えるに至った。 もっともこれは国際行政法一般の見地からの議論の整理である。本研究課題のBrexitという文脈にさらに寄せて、その文脈からさらに国際行政法一般のこれまでの議論で論じられていない論点、すなわち、グローバルな規制課題に対してEUのようなマクロ地域行政機構を通して越境的な行政法準則(規制ルールなど)を作り出す状況と、Brexit後の英国のように一国がグローバルな課題に直接に接する状況とで、共通の国際行政法の論理を発見し用いることができるかといった論点にも考察を進めていくことが課題であるということも認識するに至った。最終年度はこの点を実証研究とつなげながら展開していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実証研究の部分はやや遅れているが、理論の構築に向けた基礎的な考察は2020年度に順調に進んだ。 実証研究がやや遅れている理由は、Brexitの全体的な遅れからである。2020年度は脱退協定とその英国内の実施法が漸く発効・施行されることになり、研究計画に予定していた実証的な研究に多少は着手できるようになった。しかし、優先的に研究を進めることにした環境および食品安全基準(とくにGMO)については、脱退時の交渉事項から外れ、さらにその次の将来関係協定での交渉事項となったため、20年度内は具体的な研究を進める手掛かりが多くは得られない結果となった。20年度内は、それゆえ実証面については、将来関係協定(実際には2020年12月30日に署名されることになった、EU-UK Trade and Cooperation Agreement)の交渉状況をフォローするとともに、12月になって公表された協定の条文の関連個所を確認し、対応する国内実施法( European Union (Future Relationship) Act 2020 )の条文を確認するところまでとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の前提となるBrexitの遅れの中でも研究計画期間内に実証研究の成果を出しつつ理論的な考察につなげるため、1年間の延長を申請し、承認をえた。最後の1年については、環境規制および食品安全(とくにGMO)規制の実証研究に努め、また国際行政法の理論的な基礎となる一般的な考察にも接続させて、本研究の独自の視点である、グローバル・EU・各国という三層の規制文脈と、グローバル・各国という二層の規制文脈とで、行政原則が異なるのかという考察に進みたい。
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Causes of Carryover |
研究計画の基礎となる英国のEU脱退と将来関係の構築という作業が、予想外に遅れ、研究期間内に実証的な研究にわずかしか着手できなかったこと、またコロナ感染症の流行が収まらず、海外での調査がまったくできなかったため。最終年度は、残る額を有効に使い、ネットを使った面会調査や関係文献の収集により、実証面も充実させる予定である。
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Research Products
(3 results)