2019 Fiscal Year Research-status Report
政治思想史方法論の新展開:ポスト・ケンブリッジ学派の諸動向と定量的解析を中心に
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18K01419
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
犬塚 元 法政大学, 法学部, 教授 (30313224)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ケンブリッジ学派 / 計量テキスト分析 / 思想史方法論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は、おおきく2点に分けて整理できる。 第一に、政治思想史方法論におけるケンブリッジ学派の再検討、ケンブリッジ学派以後の政治思想史方法論のサーヴェイ、の2つに関して一定の見通しを獲得できたため、その結果を、『思想』1143号(特集「政治思想史の新しい手法」)に論文「ケンブリッジ学派以後の政治思想史方法論」(pp.5-22)として発表した。(1)ケンブリッジ学派が、意識的に、実証主義に代わる社会科学方法論を模索していたこと、(2)ポストケンブリッジ学派世代は、ポスト反基礎付け主義の科学哲学の成果のうえに、実効性・説得性の高いテキスト解釈の方法論を模索していること、がその成果の概要である。『思想』同号特集では編集協力もおこない、これまでの調査のなかで重要性が高いと判明した英文2論文の翻訳(コイカライネン、ブロー)を掲載したほか、政治思想史方法論をめぐって、国内研究者4名の重要な寄稿を得ることができた。 第二に、計量テキスト分析の方法と現状について一定の成果を得たことをふまえて、2020年2月に、「計量テキスト分析による影響関係の測定:実践的事例としての教科書の分析」という研究会報告を行った(論文としては未公刊)。この準備のなかでは、計量テキスト分析の方法論を応用したテキスト解釈の実践も、戦後日本におけるヨーロッパ政治思想史分野の教科書を分析素材にしてキックオフすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は2つの研究内容から成り立っているが、計画よりもはやく、それぞれについて成果を公にできたため、当初の計画以上に進展していると判断した。ただし、年度末の2020年3月に予定していた計量テキスト分析の作業は、感染症拡大のため中断している。
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Strategy for Future Research Activity |
感染症拡大のため中断した計量テキスト分析の作業については、前作業として図書資料の渉猟が必要であり、感染症による混乱が収束して調査が可能になった段階で作業を再開する。当面は、ポストケンブリッジ学派をめぐる分析を優先的におこなう。
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Causes of Carryover |
2020年3月に予定していた作業が感染症拡大のため実施できなかったため。2020年度に作業を繰り越して、当該作業で支出する計画である。
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Research Products
(3 results)