2021 Fiscal Year Research-status Report
政治思想史方法論の新展開:ポスト・ケンブリッジ学派の諸動向と定量的解析を中心に
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18K01419
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
犬塚 元 法政大学, 法学部, 教授 (30313224)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 思想史方法論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究課題の2つの軸のうち、「ポスト・ケンブリッジ学派」と呼びうる、政治思想史方法論の新動向についてのリサーチが中心となった。とくに、イヴァン・ジャブロンカに代表される新しい歴史学方法論の含意や、政治哲学の観点にもとづく政治思想史叙述の扱いについて検討をすすめて、その一端をそれぞれ、「政治思想としての歴史叙述:ヒストリオグラフィーをめぐる思想史分析の前提」(慶應義塾大学大学院法学研究科プロジェクト科目)、「思想史家としてのジョン・ロールズ:政治哲学者による政治思想史をどう受けとめるか?」(東京大学社会科学研究所第8回全所的プロジェクト(社会科学のメソドロジー)ワークショップ)、という口頭報告として発表した。さらに、人文主義研究やグローバルヒストリー・帝国史が政治思想史叙述に及ぼしている影響については、若手研究者の意欲的な著作に対する書評報告のかたちで、現時点の見地を発表した(「ホッブズは本当に多元的国制を提唱した「助言者」だったか?」社会思想史学会第46回大会、「上村剛『権力分立論の誕生 ブリテン帝国の『法の精神』受容』合評会における報告」政治理論研究会(法政大学・立教大学・中央大学))。また、本研究課題の成果の一部は、朝日新聞書評におけるアウトリーチ活動においても積極的に活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、最終的な検討課題として、思想史方法論は個別テクストの分析だけでなく通時的系譜の析出や通史叙述のツールとしてどこまで適用可能か、というリサーチクエスチョンを掲げており、本年度には、通史叙述と方法論の関連にかかる分析に着手することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
定量的なテクスト解析の手法をもちいた思想史研究の可能性と限界については、学会報告やその記録において成果の一部をあきらかにしてきたが、さらなるアウトプットがのぞましいと考えている。
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Causes of Carryover |
感染症の流行のため、遠方に移動しての文献調査に制約があり、そのために予定額を下回る執行となった。調査旅行の再開が可能であれば実施し、不可能であれば代替となる資料・機器の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)