2020 Fiscal Year Research-status Report
仮想通貨の価格変動要因の分析:実験室実験によるアプローチ
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18K01516
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
草川 孝夫 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 准教授 (00412289)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 仮想通貨 / 暗号通貨 / バブル |
Outline of Annual Research Achievements |
暗号通貨の値付けが現実の市場においてどのようになされているのかについての仮説を、先行研究をもとに下記にように立てた上で、それを実験室で検証するための手法について新たに開発した。 まず、暗号通貨を持ち続けていても、そこから利子や配当などのキャッシュフローは得られない(つまり、インカムゲインが存在しない)。その結果、配当割引モデルを使って暗号通貨を値付けすることはできない。一方で、暗号通貨を転売することによる損益、つまり、キャピタルゲインやキャピタルロスは発生しうる。そのような資産の値付けには、かつてケインズが株式市場の特徴に関して述べたように、「近い将来、それをいくらで他人に転売できそうか」についての市場参加者の予想こそが、最も重要になると考えられる。つまり、「転売先である他人が、将来、暗号資産をいくらだと評価しそうか」についての人々の予想こそが、暗号通貨の価格の最も重要な決定要因・変動要因になるという仮説を立てた。 このことを実験室実験で検証するためには、暗号通貨の役割を果たす売買対象を実験室に導入するだけでなく、「その売買対象に対して、他人がいくらだと評価しそうか」についての人々の予想自体を操作する必要がある。また予想を操作する際には、被験者をだますことなく実験を実施しなければならないという、実験経済学が実験実施者に課す制約を満たさなければならない。 その制約を満たしながら、被験者の予想を実験室内で操作する手法を開発できたことが、当該年度に得た成果である。この手法を用いて今後実施する実験においては、上記仮説を検証することができるであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
個人個人の意思決定を対象とするタイプの被験者実験と比べると、市場実験ではそれよりも多くの被験者を実験室に入れなければならない。そのため、新型コロナウィルス感染防止のため、当該年度は実験室実験を実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの感染防止対策を十分に講じた上で、実験室実験を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染防止のため、実験室実験を実施できなかった。
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