2021 Fiscal Year Research-status Report
仮想通貨の価格変動要因の分析:実験室実験によるアプローチ
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18K01516
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
草川 孝夫 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 准教授 (00412289)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 仮想通貨 / 暗号資産 / バブル |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、実験実施に必要となる実験指示書(インストラクション)や、実験実施ソフトウェアのプログラミングなどの準備作業を行ったが、それらを使った実験の実施は、新型コロナウィルスの感染が収束せずに多人数の被験者を集めることが難しい状況にあったため、翌年度に持ち越すことになった。 そのため、当該年度は、過去に自身が共同研究者とともに実施した実験(一部の市場参加者が、売買対象となる資産のファンダメンタルバリューに対してバイアスのある予測を抱く状況においては、売買注文が他人の予測のバイアスの影響を受けてしまうという仮説を検証するための実験)のデータを、暗号資産のような人々が根拠なしに市場価値を予測するような資産の売買の実験データと再解釈した上で、本研究課題の観点から分析した。 そこでの分析結果からは明らかになったのは、次のことである。すなわち、真のファンダメンタルバリューを知っている人であっても、そのファンダメンタルバリューとは異なる根拠のない価値を他の人々が予測している場合、ファンダメンタルバリューとは異なる価格で売買注文を出してしまうことである。このことは、ケインズが株式市場を美人投票に例えたストーリーを支持する結果となっている。すなわち、プロフェッショナルの投資家にとっては、自分がその資産をいくらと評価するのかよりも、他の投資家がいくらと評価するのかの方が重要である、というストーリーである。 この分析結果は、暗号資産の売買注文を出す際も同様に、自身が信じるファンダメンタルバリューではなく、他人が信じる価値をもとに、売値・買値を決めてい可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染が収束しなかったため、多人数を実験室に集めて約3時間にわたって取引実験を実施するという、当初の実験デザインのまま実験を実施することが難しい状況であった。
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Strategy for Future Research Activity |
被験者を実験室に集めずに、遠隔地から参加するオンラインでの取引実験を実施することを検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染が収束せず、多人数を約3時間にわたって一部屋に集める取引実験を実施できない状況だった。実験室に被験者を集めて実験を実施することが可能な感染状況になった場合は当初の計画通りの実験を実施し、ならなかった場合は遠隔地から参加するオンラインでの取引実験を実施することを検討している。
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