2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01527
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 努 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (40281779)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ウェルビイング / 福祉国家 / 自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、福祉政策を支える「ウェルビイング」概念の新たな理念化とその指標化を試みることにある。この目的に照らして、初年度は研究の第一段階として、社会心理学や倫理学や行動経済学などの諸分野において多様な展開をみせる研究の成果を猟歩し、同概念の新しい理解と射程を見定めてきた。さらに、約30種類程度ある主要なウェルビイング指標を、網羅的に検討した。この後者については、その成果を以下の論文として公刊した。Hashimoto, Tsutomu; Oda, Kazumasa; Qi, Yuan, "On Well-being, Sustainability and Wealth Indices beyond GDP : A guide using cross-country comparisons of Japan, China, South Korea," The Economic Studies (Hokkaido University), 2018, 68(1), pp.35-88. 加えて初年度には、ウェルビイング概念に基づく福祉哲学の刷新を図るべく、新たに「自生的な善き生(ウェルビイング)」の理論を構築し、その成果の一部を以下の論文として公刊した。「幸福の経済原理---自生的な善き生(ウェルビイング)の理論(上)---」『思想』2018年12月号、6-25頁、所収、および、「幸福の経済原理---自生的な善き生(ウェルビイング)の理論(中)---」『思想』2019年2月号、no.1138、88-102頁、所収、である。この他、関連するテーマの研究報告を、北海道大学とソウル国立大学の共同ワークショップ(2018年12月、北海道大学にて開催)にて報告し、あるいは理論的に関連するテーマの論稿を以下のような「ノート」として刊行した。"How a Fat Slave Can Make His Soul Noble: Takenori Inoki on Liberty," The History of Economic Thought, Vol. 60, No. 1, pp.164-170.社会的な情報発信としては、「なぜリベラルは嫌われるのか?」と題して、全三回にわけて、メールマガジン『αシノドス』に、2018年の9月から12月にかけて、連載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の第一段階として、私は、社会心理学や倫理学や行動経済学などの諸分野において多様な展開をみせる研究の成果を猟歩しつつ、同概念の新しい理解と射程を見定めることを課題に挙げた。この企ては、初年度において8割近く進んだといえる。また、研究の最終段階に おける計画として、「新たに構築される規範的理論から約30種類程度ある主要なウェルビイング指標を批判的に評価しつつ、新たな指標化の提案を試みる」ことを掲げたが、このうち、様々な主要指標についての検討について、本年度内にほぼ終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、課題に掲げた三つの目的、すなわち、(a)学説史的検討と概念分析、(b)福祉政策を体系的に導く規範理論の構築、(c)諸指標の検討と新たな指標の提案、に沿って、それぞれのテーマをさらに探求したい。とりわけ、「幸福度指標」とその背後に想定しうる福祉国家の新たな原理論が、これまでの福祉国家の諸原理(正当化根拠)とどのように違うのか、あるいはどの点で新しいのか、についても明らかにし、福祉国家が今後取り組むべき新たな政策課題について明らかにしたい。
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Research Products
(7 results)