2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of tax and social security policies and their influence on intergenerational welfare in a declining birthrate and aging society
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18K01648
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 慎一 京都大学, 経済学研究科, 教授 (20812895)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 少子高齢化 / 租税政策 / 社会保障政策 / 動学一般均衡モデル / 世代重複モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
まず "The Joint Labor Supply Decision of Married Couples and the U.S. Social Security Pension System" という単著論文を7月初旬に完成させ、Review of Economic Dynamics 誌に掲載した。これに先立つ4月に同論文をオーストラリア財務省で報告し、現地の実務エコノミストからも意見を受け取った。また上記論文と並行して、南カリフォルニア大学の Imrohoroglu 教授と "Achieving Actuarial Balance in Social Security: Measuring the Welfare Effects on Individuals" という論文の執筆を進めた。同論文については、4月にオーストラリア国立大学および財務省、6月に韓国財務省主催の国際学会、7月に一橋大学、8月に北海道大学での理論経済学研究会で中間報告をし、意見を受け取った。
日本の少子高齢化の進行が既存の税制・社会保障制度の持続可能性に及ぼす影響の分析については、8月以降、関連データの収集加工を始めおり、現在、異質な家計からなる一般均衡世代重複モデルの構築及びカリブレーションのためのプログラミングを進めている最中である。
その他の活動としては、2019年1月に米国アトランタで開催された米国経済学会他の合同年次総会に参加し、最新の研究結果を収集すると同時に、ミシガン大学の Leitner 教授とミーティングを行った。また3月には那覇市で開催されたDSGEコンファレンスに参加し、"Analyzing Fiscal Policies in a Heterogeneous-Agent OLG Economy" という論文の報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
南カリフォルニア大学のSelahattin Imrohoroglu 教授とともに“Achieving Actuarial Balance in Social Security: Measuring the Welfare Effects on Individuals”という、米国の少子高齢化が社会保障年金制度の持続可能性に及ぼす影響について分析する論文の執筆を進めており、様々な学会や研究会で発表し意見を受け取った。この論文はまだ学術誌に投稿できる段階には至っていないが、分析結果は順調に改善している。
日本の少子高齢化の進行が既存の税制・社会保障制度の持続可能性に及ぼす影響の分析については、2018年以降、関連データの収集加工を始め、異質な家計からなる一般均衡世代重複モデルの構築及びカリブレーションのためのプログラミングを進めている最中である。この分析はまだ学外の研究機関や学会で中間報告ができる段階には至っていないが、2019年夏頃には暫定的な分析結果をまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在執筆を進めている "Achieving Actuarial Balance in Social Security: Measuring the Welfare Effects on Individuals" という、米国の少子高齢化が社会保障年金制度の持続可能性に及ぼす影響について分析する論文を完成させ、学術誌に投稿する。
日本の将来人口推計を異質な家計からなる動学一般均衡・世代重複モデルに組み込み、少子高齢化の下での日本経済、主にマクロ経済と政府財政収支、の長期的な推移を予測し、同様な手法を用いて推計した米国の長期予測と比較しながら、日本の少子高齢化の特徴を明らかにする。この結果を学会で報告するとともに論文にまとめる。
さらに上の結果を踏まえて、公的年金保険を「持続可能」にするための改革案を比較検討する。この場合、個々の改革案が長期的な経済成長に及ぼす影響を試算するだけでなく、改革案が労働供給、例えば退職年齢、や老後のための貯蓄行動に及ぼす影響を考慮し、最終的に改革案が所得・資産階層や年齢コーホートが異なる家計にそれぞれどのような影響をもたらすかを明らかにする。
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