2018 Fiscal Year Research-status Report
企業間取引関係と技術革新:日本自動車産業における部品取引構造変化に関する実証分析
Project/Area Number |
18K01834
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武石 彰 京都大学, 経済学研究科, 教授 (60303054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊谷 達弥 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (80183789)
中本 龍市 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (80616136)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 取引関係 / 技術革新 / 自動車産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる本年度は、1984年から2016年を観察期間とする部品取引に関するパネルデータを整備し、成熟・安定している技術を用いる部品(62部品)と、革新的な技術を用いる部品(27部品)を比較し、取引関係およびその経時的変化がどのように異なるのかを分析する作業を進めた。この結果、まだ分析としては予備的な段階にとどまっているが、成熟安定した部品と新規性の高い部品では取引構造とその変化のあり方に顕著な違いがあるという分析結果を得た。トヨタ自動車を例にとると、前者では取引構造が長期に安定して推移していたのに対して、後者では内製部門から調達からスタートして、次第に系列部品メーカーからの調達に移行していく、という時系列の変化が観察された。 この他、(1)1984年から2016年を観察期間とする自動車メーカーとサプライヤーの資本関係に関するデータの整備、(2)取引データと接続可能な特許データの収集の検討、(3)上記部品取引パネルデータのネットワーク分析の着手、(4)自動車メーカーの海外現地生産における部品取引のデータ収集のためのアンケート調査の検討などを進めた。 以上により、本研究の中心的な課題について、予備的な成果を得ることができ、また、次年度以降、本研究プロジェクトを推進していくために必要な基本作業を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)本研究プロジェクトを推進していくために必要な基本作業を進めることができた。(2)また中心的な課題についての予備的な分析結果を得て、次年度以降の作業から有意義な分析結果を導き出せる可能性があることを確認できた。これらの点において、本研究課題は、おおむね順調に進捗していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の予備的な分析結果を踏まえ、当初の計画に沿って、さらに追加的なデータの収集・整備を進めながら、実証分析の実施に取り組んでいく予定である。特に、資本関係に関するデータおよび特許データと部品取引のパネルデータの接続、部品取引パネルデータのネットワーク分析、海外部品取引に関するアンケート調査などについての作業に注力し、研究代表者、研究分担者、研究協力者が相互に緊密に連絡、調整しながら、共同研究作業を推進していく。
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Causes of Carryover |
研究分担者(菊谷)は、国内外での部品取引に関する自動車メーカー・部品メーカーを対象として質問票調査を行うことを計画している。質問票調査では、調査票の印刷・送付・回収、およびデータ入力などが必要となるが、このための費用は単年度の分担金ではカバーできないため、2年分をプールして、2019年度分と2020年度分の分担金を合わせて使用する計画である。
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