2019 Fiscal Year Research-status Report
The Impact of Identity and Empathy on Consumer Behavior in Digital Media
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18K01901
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
玉置 了 近畿大学, 経営学部, 准教授 (40434849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 靖永 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (70240447)
堀川 宣和 星城大学, 経営学部, 講師 (20761604)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アイデンティティ / SNS / 機械学習 / 共感 / ディープラーニング / テキストマイニング / デジタル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度にTwitterから特定のキーワードを含むツイートを自動的にダウンロードするプログラムを開発し,ローマ字表記の国内地名を含むツイートの収集を開始した。本年度は,特定の国内観光地に着目し,深層学習(ディープラーニング)を用いて,当該データからその観光地に関する外国人観光客や観光客向けの英文ツイートと国内地名は含まれているものの観光以外のツイートを分類する手法を検討し90%程度の正解率を実現するモデルを開発した。年度後半に1年分,約530万件のツイートの収集を終了し,上記の深層学習モデルにより観光に関するツイートとして高い信頼性が得られた17万件のツイートデータをもとに分析をすすめた。特に本研究では,画像が添付されたツイートとそれに対する「いいね」やリツイートなどの反応に着目し,これらの反応が得られる画像の特徴の分析を行った。Google社の提供する画像認識API (アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)や独自に作成した顔認識プログラムなどを用いて画像に写された被写体を認識し,「いいね」やリツイートが多く得られるツイートとそうでないツイートの画像内容に見られる違いを分析した。これらの結果は論文として纏めており早急に公表予定である。また,これまでの研究成果を初学者に平易に伝達する取り組みとして,デジタル社会におけるマーケティングに関する教科書の一部として,本研究が焦点をあてるSNSにおけるタイムライン上で短文かつ画像などを用いた発信を行うコミュニケーションとオンライン掲示板など旧来からのコミュニケーションとの比較をアイデンティティや自己表現の視点から行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度中盤にSNSからのデータ収集プログラムが完成したため,膨大なデータの蓄積が進んでいる。また,分析方法についても本研究で取り組んでいる機械学習の分野は日進月歩かつ多様な手法が提案されているため,その補足は困難であるが,分析結果として提示できる程度にはその手法の獲得も進んでいると評価している。また,画像投稿やリアクションといったSNS上の行為に着目することで,自己表現やアイデンティティ,また共感といった本研究の理論的な枠組みに沿った分析が進められている。また,当初より本研究は観光や倫理的消費,食といった分野における消費者の情報発信行動に着目する計画であった。これらの分野に対する研究成果としての公表を目指すため,未だ研究実績として示すことのできる段階では無いものの本年度は観光や倫理的消費,食に関する消費者行動の研究のレビューを行い,本研究が分析対象としているSNSでの情報発信,とくに画像投稿の理論的な位置付けの研究を進めた。年度終盤には,得られたSNS上の画像投稿やリアクションの分析結果によって,観光や倫理的消費に関する先行研究に対するSNS上での画像投稿やリアクションの位置付けがアイデンティティ・共感という理論的視点から明確になりつつある。今後は早急に論文として研究成果をまとめ学術雑誌での公表を行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,最終年度であるためこれまで収集したデータをもとにした研究成果の集成を行う。第1に観光と倫理的消費に関する研究成果の論文としての公表である。これに関しては,データ分析を終え現在論文の執筆を進めており理論的な側面の補強をしつつ早急な完成を目指している。第2に,データ分析を終えているといっても未だ分析の余地を残している側面がある。これまでは収集したツイート全てを分析の対象としてきたが,観光の場合は国籍,または旅行者かDMO,宿泊施設など発信者の属性による精緻な分析の余地がある。また一応の分析結果は得られているが,研究手法としても進歩の絶え間ない新たな深層学習の手法を用いた分析による精度の向上,一方で科学的な評価に耐えうる手法の検討などを行う必要がある。さらに理論的には,本研究は消費者のデジタルメディアを用いた行動の影響要因として消費者のアイデンティティと共感を位置付けるものである。しかし,本研究はデジタルメディアがそのアイデンティティ,共感という消費者の心理それ自体に及ぼしている影響,変化を検討することで,デジタル社会の消費者,あるいは人間の意識・行動の変容の一端を説明するべく議論を深めたいと考えている。また,今後のより発展的な研究を見据えて,本研究がこれまで分析した画像認識の応用的な分析として動画による発信の分析手法も検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
年度終盤に国際学術誌への投稿を予定しており,英文校閲費としての支出を予定していたが論文完成の遅滞により次年度使用とした。論文が完成次第英文校閲費として使用する。
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Research Products
(1 results)