2020 Fiscal Year Annual Research Report
Genealogy of Solitudes in Media Cultures
Project/Area Number |
18K02012
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長谷 正人 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40208476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 哲彦 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (10419252)
前川 修 近畿大学, 文芸学部, 教授 (20300254)
加藤 裕治 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (20633861)
川崎 佳哉 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (50801792)
松谷 容作 國學院大學, 文学部, 准教授 (60628478)
大久保 遼 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (60713279)
増田 展大 九州大学, 芸術工学研究院, 講師 (70726364)
角田 隆一 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (80631978)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 映像文化 / 孤独 / 自撮り |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、コロナ禍のためメンバーが実際に集まって研究会を行うことが不可能だった。そのため、zoomによる研究会を4回にわたって実施した。第1回会合は5月30日に(報告者:川﨑佳哉)、第2回会合は7月11日に(報告者:増田展大)、蓮實重彦著『増補新版 ゴダール マネ フーコー:思考と感性とをめぐる断片的な考察』青土社をテキストにして濃密な議論を行った。本書で蓮實重彦は、後期ゴダールやストローブ=ユイレらのような、ハリウッド的な集団製作とは異なった、少人数での映画製作を行った監督たちが、カメラや編集機を、いかに「孤独」な思考の道具として扱い、その自らの孤独さを表現したかを論じているように思われる。ここに私たちの研究における、映像文化の「孤独性」を考える契機があり、そうしたカメラで自分自身を撮影し、自己を表現するような自撮り行為を、今後研究の中心に置いて行くような議論を行った。 そうした議論を踏まえて、第3回会合(9月5日)と第4回会合(9月19日)では、今後研究成果を書籍化していくために、各自が自分の今後の研究計画を報告した。第3回は大久保遼、角田隆一、菊池哲彦、川崎佳哉の4名が、それぞれ若い人のノスタルジー志向、写真への「エモい」という評価、ラルティーグの私生活を捉えた写真、北野武やイーストウッドの監督主演映画について報告した。第4回会合では松谷容作、増田展大、加藤裕治の3名が、それぞれ宇宙飛行士の船内での自撮り映像、エミール・レイノーの映像製作行為、youtuberの自撮り行為について報告した。 3年間の議論を通して、映像文化をコミュニケーションという視点からではなく、人間が自己と向き合う孤独な行為の文化として捉える糸口を見いだせたのではないかと思う。それは次年度以降の同じメンバーによる科研費(「自撮り」研究)へと繋げていく予定である。
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