2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of marital satisfaction using longitudinal dyadic data on the early stage of marital life
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18K02024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 富美子 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (50738391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 哲 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20401268)
西野 理子 東洋大学, 社会学部, 教授 (50257185)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 夫婦ペアデータ / 結婚満足度 / 夫婦関係満足度 / 結婚の質 / 家族形成 / パネルデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
家族形成初期段階は妻と夫の夫婦関係満足度の乖離が最も大きく、結婚の質を考えるうえで重要な時期にもかかわらず、この時期の夫婦間の相互作用や関係性の変化の検討に必要な計量データは日本ではまだ充分整っていない。本研究は、この課題に取り組むため、高校卒業時からほぼ毎年パネル調査を実施してきた高卒パネル調査対象者の「配偶者」に3回の継続的な調査を行うことで「夫婦ペアパネルデータ」を構築し、同一夫婦における妻と夫の満足度の①変化の様態と② 変化の要因を明らかにすることを目的として研究をスタートした。2018年度に実施した第1回目の配偶者調査に続き、2019年度は第2回目の配偶者調査を実施した。これにより、本研究が目指す夫婦ペアパネルデータの第1段階として、2時点の夫婦ペアパネルデータを収集することができた。 2019年度は、全6回の研究会を開催し、調査設計や調査票作成に向けた検討の加え、研究成果を報告し、ブラッシュアップしていく機会を積極的に設けた。調査は2019年11月中旬から1月中旬にかけて、郵送による調査票調査とweb調査の2種類の方法で行った。郵送調査では、配偶者用の返信用封筒を同封するなど、夫婦間のプライバシーの保護に配慮し、web調査と併せて 202票を回収した(うち有効票183 無効票19)した(昨年度:回収223うち有効票187 無効票36)。回収した調査票はエディティング作業やコーディング作業を行い、1月末までにデータ入力・クリーニングを業者に委託、3月末までにデータセットの作成が終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究計画は、昨年に引き続き、高卒パネル調査対象者の「配偶者」に2回目の調査を行い、昨年構築した夫婦ペアデータをパネル化することであった。郵送およびweb調査による「配偶者調査」を実施し、「高卒パネル調査」と併せて2時点の夫婦ペアパネルデータを収集することができた。 また、夫婦ペアパネルデータの構築・分析は新しい試みであり、その強みを最大限に活かすために、先行研究および分析手法に関する情報収集は必須となる。このため、初年度と同様、研究会を密に開催し、メンバー間での情報共有が重要であったが、これについても、研究会・ワーキンググループを計6回実施することができた。 このため、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は2つの方向で研究を進めていく。1点目は、2018~2019年度の調査によって収集した夫婦ペアパネルデータを分析し、研究成果を発信していくこと、2点目は、3回目の「配偶者調査」を実施し、3時点の夫婦ペアパネルデータを構築することである。 1点目については、夫婦ペアデータの強味を活かした分析をするため、分析手法面担当の研究分担者を中心に、データ分析の手法を習得する研究会を開催し、各メンバーの分析技量を高め、研究成果を発信していく。具体的には、夫婦ペアデータ、および夫婦ペアパネルデータを分析し、その概要をまとめた速報版の作成と調査対象者への配布、ディスカッションペーパーの作成とHPでの公開を行う。また、日本家族社会学会のテーマセッション「ダイアド・データによる家族研究の可能性」において、研究分担者とともに研究成果の報告を予定している。 2点目については、これまでと同様のスケジュールで郵送による調査票調査とweb調査を用いて「配偶者調査」を実施し、別途、実施される「高卒パネル調査」と併せて夫婦ペアデータを作成する。さらに、2018年度と2019年度に実施したデータと併せ、2021年3月までに3時点の「夫婦ペアパネルデータ」を構築する予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度は、前年度に引き続き、高卒パネル調査対象者の「配偶者」に継続的に調査を実施し、2時点の夫婦ペアパネルデータを収集した。しかしながら、本研究で収集したデータは複雑なデータ構成であることから、データクリーニングに時間を要し、本格的なデータ分析に取り組むのは次年度となる。このため、次年度にデータ分析に必須となる分析ソフトの購入など、分析スキル向上のための費用などをねん出し、データ分析の環境を充実させたいと考え、今年度は経費節減に努めた。 2020年度は、次年度使用額と今後の助成金を用いてデータ分析の環境を整え、研究成果の発信と夫婦ペアパネルデータ構築のための第3回目の配偶者調査を実施する。
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Remarks |
(1)において、本研究データを用いた分析を実施し、「夫婦ペアデータからみた『夫の家事・子育て』をめぐる夫と妻の認識のズレ――妻が夫の家事・子育てに不満を抱くとき」を執筆した(p13-p22)
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Research Products
(1 results)