2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of marital satisfaction using longitudinal dyadic data on the early stage of marital life
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18K02024
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 富美子 大阪大学, 国際共創大学院学位プログラム推進機構, 特任助教(常勤) (50738391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 哲 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20401268)
西野 理子 東洋大学, 社会学部, 教授 (50257185)
田中 茜 東北文化学園大学, 現代社会学部, 助教 (30908629)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 夫婦ペアデータ / 結婚満足度 / 夫婦関係満足度 / 結婚の質 / 家族形成 / パネルデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
家族形成初期段階は妻と夫の夫婦関係満足度の乖離が最も大きく、結婚の質を考えるうえで重要な時期にもかかわらず、この時期の夫婦間の相互作用や関係性の変化の検討に必要な計量データは日本ではまだ充分整っていない。 本研究はこの課題に取り組むため、高校卒業時からほぼ毎年パネル調査を実施してきた高卒パネル調査対象者の「配偶者」に3回の継続的な調査を行うことで「夫婦ペアパネルデータ」を構築し、同一夫婦における妻と夫の満足度の①変化の様態と②変化の要因を明らかにすることを目的としてスタートした。2018年度から2020年度まで毎年調査を実施し、3時点の夫婦ペアパネルデータを収集することができた。収集したペアデータは、2018年度181組、2019年度183組、2020年度188組の延べ552組で、うち3時点のすべてに回答したのは102組であった。 2021年度もコロナ禍の状況を踏まえ、オンラインで全3回の研究会を開催し、夫婦ペアデータや夫婦ペアパネルデータを用いた研究成果を発信すべく、議論を重ねてきた。特に2020年度の調査では、コロナ禍が人々のくらしに及ぼした影響を探るため、コロナに関連する質問項目を設けた。これらの項目を用いて、研究分担者・田中(東北文化学園大学)は、緊急事態宣言下での夫婦関係の変化を分析し、速報版を作成して調査対象者へ配布するとともに、コロナ禍における夫の家事・子どもとのかかわりをテレワークと絡めて分析し、ディスカッションペーパーにまとめ、HPで公開した。研究代表者・鈴木(大阪大学)については、2020年度家族社会学会のテーマセッション「ダイアド・データによる家族研究の可能性」での報告内容が『社会と調査』の特集号「家族のリアリティを調査する 工夫・成果・課題」に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の研究計画は、2018年度~2020年度に実施した3時点の夫婦ペアパネルデータを用いて、研究成果を広く発信していくことであった。 夫婦ペアパネルデータの構築・分析は新しい試みであり、その強みを最大限に活かすために、先行研究および分析手法に関する情報収集は必須となる。このため、2021年度も研究会を計3回開催し、議論を重ねてきた。また、各メンバーがペアデータ分析の分析レベルの向上を目指すなど、最終年度に成果を発信するための準備を行ってきた。 その一方、夫婦ペアパネルデータは、ペアデータを繰り返し実施するため、通常の横断データやパネルデータに比べ、データの構造が複雑となる。このため、3時点の夫婦ペアデータのクリーニングを行い、データセットを作成するのに、当初の予定よりも時間を要し、メンバーにデータを配布したのが2021年8月の半ばとなった。夫婦ペアパネルデータは、夫婦間の相互作用や関係性の変化の検討に有効な計量データであるが、日本ではまだデータの蓄積が充分になされていない。本研究では、夫婦ペアデータを用いたディスカッションペーパーの執筆、『社会と調査』での研究成果の掲載など、着々と研究成果をあげてきたが、本データの強みを活かした分析を行い、さらなる研究成果をあげていくためには研究期間の延長が必要だと考え、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は本研究の最終年度となることから、2018~2021年度の調査によって収集・構築した夫婦ペアパネルデータを分析し、研究成果を発信していくことに力を注いでいく。 そのため2022年度は、2020年に実施した2種類の研究会を実施していく。1つは、夫婦ペアデータの強味を活かした分析をするため、分析手法面担当の研究分担者を中心に、データ分析の手法の取得に主眼を置いた研究会を開催する。もう1つは、メンバー間で研究成果を報告する機会を増やし、ディスカッションを通じて、お互いの研究内容をブラッシュアップしていくことを目的とする研究会の開催である。これら2つの異なるタイプの研究会を通じて研究会活動を活性化し、夫婦ペアパネルデータを用いて夫婦研究に新たな知見を得ることができるよう研究を進め、成果報告書をまとめることを目指す。
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Causes of Carryover |
2018年度から2021年度の4年間に、高卒パネル調査対象者の「配偶者」に継続的に調査を実施し、3時点の夫婦ペアパネルデータを収集・データセットが完成した。今年度は、最終年度として、本格的なデータ分析に取り組む予定であったが、当初の予定より、データクリーニングとデータセットの構築に時間を要し、研究会メンバーへのデータセット配布が遅れた。本データの強みを活かした分析を行い、夫婦関係の分野で新たな知見を得るためには、研究期間の延長したほうがよいのではないかと判断するに至った。 このため、次年度もデータ分析に必須となる分析ソフトの購入、分析研究会の開始費用(講師謝礼)など、分析スキル向上のための環境をハード面とソフト面の双方から充実させたいと考え、経費節減に努めた。2022年度は、次年度使用額でデータ分析の環境を整え、研究成果を発信していく。
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Research Products
(2 results)