2018 Fiscal Year Research-status Report
原発被災市町村復興の担い手となる壮年期男性への生活と健康に関する支援方法の構築
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18K02058
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岩佐 有華 (秦有華) 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90609132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 智子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00300096)
富山 智香子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80359702)
西方 真弓 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90405051)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原発災害 / 壮年期男性 / 睡眠 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、原発災害により被災し長期の避難生活を送る壮年期男性(以下、被災群)と被災していない壮年期男性(以下、非被災群)の睡眠とストレスを比較することを目的に、非被災群10名の睡眠とストレスに関するデータ収集を行い、その結果を分析した。 客観的睡眠状態はActigraphを、主観的睡眠状態はピッツバーグ睡眠質問票(以下,PSQI)を用いてデータ収集を行った。Actigrapでは、Sleep Minutes(睡眠時間),Sleep Efficiency(睡眠効率),Sleep Latency(入眠潜時),Wake after Sleep Onset(中途覚醒時間)の測定を行った。 主観的ストレス状態は精神健康調査票(以下,GHQ28)を,客観的ストレス状態は唾液ストレスバイオマーカー(α-Amylase,Cortisol,Chromogranin A, s-IgA)を用いてデータ収集を行った。 今回収集した非被災群のデータを、以前に収集した被災群のデータ(仮設住宅居住時及び復興住宅居住時)と比較するためにMann-Whitney の U検定を用いて分析した(p<0.05)。 その結果、非被災群と復興住宅居住時の被災群では、睡眠とストレスに有意差は認められなかった。一方で、非被災群と仮設住宅居住時の被災群では、PSQI総得点(p=0.039)及びPSQI下位尺度睡眠時間(p=0.006)及びSleep Latency(p=0.034)において有意差が認められた。 これらのことから、原発災害により長期の避難生活を送る壮年期男性の仮設住宅居住時の睡眠は被災し避難していない一般の壮年期男性と比較して、有意に悪いことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って調査を実施した。対照群としての一般壮年期男性の睡眠とストレスのデータを収集し、被災者群と比較することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
復興住宅での避難生活の長期化に伴って対象者の睡眠とストレスにどのような変化がみられるのか、またそれらに影響を及ぼす要因を明らかにするために、引き続き睡眠とストレスに関するデータ収集を行っていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は唾液ストレスバイオマーカー受託分析費が前年度より値上がりし今年度予算では不足したため次年度に予定することにしたからである。 次年度の使用計画は、旅費(研究成果発表、データ収集のための現地訪問)、人件費(謝金、翻訳費)、その他(唾液ストレスバイオマーカー受託分析費、脳波解析受託費、研究成果発表、通信費)に使用する予定である。
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